2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換に関わる転写因子発現のエピジェネティクス制御機構
Project/Area Number |
22792041
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大隈 瑞恵 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (60456209)
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Keywords | TWIST1 / DNAメチル化 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
bHLH型転写因子であるTWIST1は上皮間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition:EMT)において重要な役割を果たすとともに、間葉系細胞の分化抑制に関わることが知られ、TWIST1の発現が間葉系細胞の特性の維持に関与する可能性が示唆されている。低酸素により活性化されEMTを誘導することで知られるHIFがTWIST1プロモーターに直接結合し活性化するとの報告あるが、HIFの関与のみで間葉系細胞におけるTWIST1の発現を説明することは難しいと考えられる。そこで本研究では、EMTにおけるTWIST1遺伝子発現制御機構を明らかにするとともに、EMTに関連する転写因子が受けるエピジェネティクス制御の解明を図ることを目的とした。今年度は、EMTの誘導実験によく使用されるヒト乳癌由来細胞MCF7を使用し、抗腫瘍性抗生物質等の薬剤によるEMT誘導の実験系確立を試みると同時に、TWIST1プロモーターのDNAメチル化状態の解析を行った。TWIST1プロモーター上には転写開始点を含む1.2kbほどのCpGアイランドが存在する。今回、TWIST1を高発現するヒト骨肉腫由来細胞MG63およびTWIST1低発現のヒト乳癌由来細胞MCF7よりDNAを抽出しBisulfite処理の後、転写開始点から上流450bpまでの25のCpGサイトついてPyrosequencing法を用い、DNAメチル化率を定量的に解析した。この結果、部分的にはメチル化率に差が見られたが、全体としてはいずれの細胞においてもCpGサイトの高いメチル化率を示した。これまでにTWIST1遺伝子発現とDNAメチル化状態の関連を認めていないが、今後はEMTの過程とDNAメチル化状態の関連に関する検討、解析領域の再検討などが必要と考えられる。
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