2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規歯周組織形成細胞マーカーによる歯周組織再生過程
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22792046
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 承子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10397127)
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Keywords | 歯槽骨 / 歯根膜 / セメント芽細胞 |
Research Abstract |
<研究の目的> AQP1は細胞の形態変化、移動に関わっているとされ、単なる水輸送にとどまらない細胞に普遍的な役割が示唆されている。我々は歯周組織形成に関わる細胞群が、水分子チャネルの一つであるアクアポリン1(AQP1)を特異的に発現していることを明らかにし、AQP1陽性細胞がセメント質、固有歯槽骨の形成に関与することを明らかにした。本研究では、新規歯周組織形成細胞マーカーであるAQP1を指標にして、咬合性外傷や歯の矯正移動のラット臨床実験モデルにおいて歯周組織構成細胞の動態を明らかにした。 咬合性外傷では、咬合性外傷一日後では歯根膜線維芽細胞全体のAQP1免疫活性が上がっていた。三日後には硝子様変性の形成が起こり、硝子様変成部に向かってAQP1陽性細胞が遊走する像が観察された。五日後には硝子様変性部の被胞化が起こり、AQP1陽性細胞は硝子様変性部を取り囲むように局在していた、七日後には硝子様変性部の内部に向かってAQP1陽性細胞が突起を伸ばす像が観察された。微細形態学的には免疫電顕所見では、硝子様変性部に遊走する線維芽細胞が糸状仮足を伸ばす像が観察され、糸状仮足の先端部分にAQP1免疫反応が観察された。また、歯牙矯正移動実験モデルでは炎症性変化を伴わない至適矯正力実験モデルを開発し、歯牙移動における歯根膜組織でのAQP1発現変化を解析した。5cNの矯正力では矯正移動した実験群で、矯正移動開始一日後には、歯根膜線維芽細胞のAQP1免疫陽性反応が上昇し三日後には歯槽骨表面の線維芽細胞様細胞が強い免疫陽性反応を示した、五日後には歯槽骨表面にAQP1陽性線維芽細胞とAQP1陰性骨芽細胞が観察されるようになり、矯正移動七日後にはAQP1の免疫反応は対照群レベルまで戻った。 これらの結果から、AQP1は咬合性外傷や、矯正移動時の歯根膜線維芽細胞の運動性活性が上がったときに一過性に細胞膜上に発現する可能性が示唆された。
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