2011 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害を有する児童の口腔細菌叢の解析と最新の分類法による誤嚥性肺炎原因菌の同定
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22792059
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 恭子 長崎大学, 大学病院, 助教 (70404499)
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 嚥性肺炎原因菌 / 分子生物学的解析 |
Research Abstract |
脳性麻痺などの原因疾患により摂食・嚥下障害を有する児童は誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高い。これらの肢体不自由児は食形態や摂取方法が健常児と異なっており、そのため口腔細菌叢も異なると考えられる。誤嚥性肺炎を予防するということで口腔ケアに対する関心は近年高まってきたが、しかし口腔ケアの現場と細菌学的知識が完全にリンクしていないのが現状である。したがって口腔ケアの現場と協力して起炎菌を分離採取し、分類学的解析を行うことは医科でも歯科でもほとんど行われておらず、さらに宿主の口腔細菌叢を解析した報告は殆どないことから本研究は独創的であり、これを特徴とする。細菌感染性の誤嚥性肺炎の起炎菌を現在の新しい手法に基づいた系統分類により再分類し、臨床の現場にフィードバックしていくことは非常に重要なことであり、誤嚥性肺炎の治療や予防、口腔ケアに役立つと考えられる。 本年度も、誤嚥性肺炎を起こした患児の唾液サンプルの採取と健常小児の唾液サンプルの採取を行い、口腔細菌叢の解析を継続して行った。また、簡易キットを使用して誤嚥性肺炎を起こした患児と健常小児の口腔細菌の総レンサ球菌数、ミュータンスレンサ球菌数、乳酸桿菌数について、実際の培養法での結果と比較を行った。 さらに歯周病総細菌数、A.actinomycetemcomitans菌数、P.gingivalis菌数、P.intemedia菌数、T.forsythia菌数、口腔日和見感染菌(MRSA,MSSA,緑膿菌、β溶連菌、肺炎球菌、H.influenzae、K.pneumoniae、S.marcescens、M(B.)catarrhalis、カンジダ)の感染の有無について簡易キットを使用して検出を行った。 その結果の一部を平成24年度の日本小児歯科学会で発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は前年度からの計画を継続して、サンプル採取と口腔細菌叢の解析を行うので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、これらの結果をまとめて誤嚥性肺炎の起炎菌と誤嚥性肺炎を引き起こしやすい口腔細菌叢のプロフィールのデータベース化し、(1)誤嚥性肺炎を引き起こしにくい口腔細菌叢を構築するための歯科的アプローチのプランニングを行い、誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアに役立てる。(2)脳性麻痺等があるリスク患児に対する誤嚥性肺炎予防に関するエビデンスに基づいたガイドラインを作成および発表を行う。
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