2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22792076
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡 暁子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (60452778)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子 / 再生医学 / 口蓋裂 |
Research Abstract |
口蓋の発生において、その殆どの間葉組織は、神経堤細胞で構成されている。我々は、これまでにWnt1-Cre ; R26Rマウスを用いて、軟口蓋・口蓋腱膜は、神経堤細胞が帯状に凝集して形成されることを組織学的に観察し、その領域には、Type I collagen遺伝子・蛋白の強い発現が見られることを報告した。 Periostinは、骨と連続する結合組織、心臓などに特徴的に発現する細胞外基質蛋白であり、コラーゲン繊維のクロスリンクを促進し、コラーゲン繊維形成に重要な働きがあるとされている。また、同じく細胞外基質蛋白であるTenascin Cもコラーゲン繊維形成への関与が示唆されており、Periostinとの相互作用が着目されている。従って、この二つの蛋白について胎生期口蓋組織における発現を免疫組織化学染色法にて経時的に観察した。興味深いことにPeriostin、Tenascin C蛋白ともに、胎生13.5日齢および14.5日齢の軟口蓋間葉組織に強い発現を認め、硬口蓋組織では、その発現が上皮直下の間葉組織に限られていた。胎生16.5日齢になると、Tenascin Cの発現は減弱するものの、Periostinは、口蓋腱膜でType I collagenと共発現しており口蓋腱膜における繊維形成への関与が示唆された。この二つの因子の発現調節についてさらに解析するため、器官培養を用いて、外因性にTGFβ蛋白を口蓋間葉に作用させたところ、Periostin発現には促進的効果が観察されたものの、Tenascin Cについては変化を認めなかった。 これまでの結果より、口蓋発生において、PeriostinとTenascinCは、硬口蓋と軟口蓋領域を決定する重要な細胞外基質因子であることが明らかとなった。
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