2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化マップを応用した外科的矯正治療の診断支援システム
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22792077
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
玉置 幸雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40369046)
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Keywords | 外科的矯正治療 / 自己組織化マップ / 骨格性下顎前突 / バーチャルパターン / 側貌形態 |
Research Abstract |
本研究では、新しい情報処理理論である自己組織化マップ(SOM)を用い、外科的矯正治療を行った多数の成人症例から、初診時の軟組織側貌および硬組織形態を顎顔面形態として統合的に捉え、SOMにより複数のバーチャルパターンを抽出し、これらをテンプレート化することで外科的矯正治療の診断を支援する診断システムの構築を目的としている。 本年度の内容として、研究計画に従い、骨格性下顎前突患者90名の初診時および外科的矯正治療終了時の側面セファログラムを収集し、それぞれに60か所の計測点を付与した。次に、これらの座標値を120次元のSOMへの入力ベクトルとし、計算ユニットを2×2に配置したマップで1万回の繰り返し学習を行った。これらの演算結果をユニットごとに視覚的再構成することで、初診時と術後とで硬組織と軟組織とを合わせた側貌をテンプレート化が可能であった。初診時の4つのテンプレートには、硬組織形態としてオトガイの突出度、中顔面の後退、下顔面高、歯系の補償の有無、咬合平面傾斜を特徴とし、さらにこれらと関連した軟組織形態の特徴を示す4つの側貌形態のパターンが抽出されていた。また、術後のユニットを視覚的に再構成したところ、全てのユニットで側貌形態の改善したパターンであったが、オトガイの突出、中顔面の陥凹、下顔面高の過大が残存するパターンも観察された。 意義として、外科的矯正治療では術後の側貌形態の改善が治療目標の一つとして挙げられているが、術後の側貌形態のパターン抽出の結果から、全ての症例で側貌形態が大きく改善するものの治療結果が一つのパターンに収束するわけではないことが確認された。また、術後のパターンへ90症例をあてはめてパターン分類を行ったところ、同一パターン内であっても口唇形態や鼻唇角にバリエーションがみられ、これらのバリエーションも含めて予測システムを構築する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己組織化マップを用い、初診時と治療後とでそれぞれ外科的矯正治療患者90名の硬組織と軟組織側貌とを合わせたパターンを抽出し、視覚的に再構成することでテンプレート化し、テンプレート間の対応を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題の推進について、初診時と術後への症例のあてはめを行い、初診のマップと術後のマップのユニットの対応を調べ、予想困難なパターンの特定を行う。そのようなパターンについては、さらに口唇形態を細分化し局所的にパターン化することで予測システムに組み込む予定である。また、90症例について予測を行い、実際の治療結果との差を調べる予定である。 問題点としては、テンプレートをあてはめる際に、顔面頭蓋が極端に大きい場合に、異なるパターンにあてはまる可能性があるため、テンプレート自体を拡大縮小できる方法を考慮する。
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