2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルサイクル調節因子p53制御による歯周組織再生:膜透過性低分子化合物の利用
Project/Area Number |
22792082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (90570292)
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Keywords | 骨代謝 / p53 / 低分子化合物 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究課題は、膜透過性低分子化合物を用いてセルサイクル調節因子p53の発現を制御し、歯周組織の再生を図ることを目的としている。平成23年度の研究成果について以下に報告する。 骨芽細胞株BMSC(bone marrow stromal cell)を用いて、膜透過性低分子化合物HLI98あるいはHLI373の骨芽細胞分化能の検討を行った。しかしこれらの化合物はp53の発現誘導に高濃度を必要とすることから、骨芽細胞分化能検討に必要な長期培養を実施すると、細胞に対して毒性を有した。そこで、化合物HLI98とHLI373がp53を選択的誘導することに着目し、これらの化合物のガン細胞に対するアポトーシス誘導能について検討を行った。実験には、ヒトレンズ(RPE)細胞および形質転換されたRPE細胞を供した。各細胞にHLI98もしくはHLI373を添加し18時間培養後、死細胞数をトリパンブルー染色により検討したところ、これらの化合物は、形質転換された細胞特異的に死細胞数を増加させた。さらに、化合物により誘導された細胞死がアポトーシスを介したものか確認するために、PARPの発現をウエスタンブロット法にて確認したところ、これらの化合物の添加により、PARPの発現が上昇することを見出した。次に、これらの化合物のアポトーシス誘導能がp53依存的か確認することを目的として、これらの化合物を野生型MEF(マウス胎児線維芽細胞)およびp53ノックアウトマウス由来のMEFに添加した。14時間培養後、死細胞数をトリパンブルー染色を用いて検討したところ、これらの化合物の添加により、p53ノックアウトマウス由来のMEFと比較して、野生型MEFでは有意に死細胞数が増加することが明らかとなった。さらにこの細胞死がアポトーシスを介していることを、抗PARP抗体を用いたウエスタンブロット法にて確認した。 以上の結果より、膜透過性低分子化合物HLI98およびHLI373はp53依存的にガン細胞のアポトーシスを誘導することが明らかとなった。
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