2011 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺幹細胞とiPS細胞を用いた唾液分泌障害に関する病因因子の解明
Project/Area Number |
22792084
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
峯柴 淳二 岡山大学, 大学病院, 講師 (00509383)
|
Keywords | マウス唾液腺幹細胞 / マウスiPS細胞 / 分化のコントロール |
Research Abstract |
唾液腺幹細胞の機能的分化に関して調べるため、唾液腺幹細胞とこの細胞よりさらに未分化であり倫理的問題のないiPS細胞を用いることとした。iPS細胞を京都大学から購入し、京都大学の山中らの方法に従って培養を行った。一方マウスから唾液腺を摘出し、細断した後コラゲナーゼとディスパーゼで処理を行い、細胞を分離、培養しマウス唾液腺細胞を得た。この中からCD49f陽性細胞を分離、培養し唾液腺幹細胞を得た。iPS細胞を上皮系細胞に分化させるため2008年Kroonらの論文に掲載されている方法を参考にし,基礎培地に添加するタンパク因子の種類と濃度,そして分化培地での培養日数の適切な組合せを決定した。基礎培地+12.5ng/ml WNT3A+50ng/ml Activin A(ME培地)で1日その後,基礎培地+0.2%FBS+50ng/ml Activin A(DE培地)で1日さらに,基礎培地+2%FBS+25ng/ml FGF10+0.125μM KAAD-CYC(PG培地)で2日で培養することが最適であることがわかった。この条件でSOX-17,OCT-4,HNF4-α,PDX-1の発現を確認し、分化の段階で唾液腺細胞の2段階前まで分化させることに成功している。さらにCD49f+細胞を種々に分化したiPS細胞と共培養を行うと,Posterior gut tube endodermに分化したiPS細胞において,非角化扁平上皮細胞と増殖期の扁平上皮細胞に発現するCytokeratin 6aのmRNA発現量は増加した。さらに,腺房・導管細胞に発現するClaudin 3のmRNAはCD49f+細胞と共培養していない対照と比較すると発現量を維持した。しかし,MesendodermとDefinitive endodermに分化したiPS細胞では,CD49f+細胞と共培養していない対照と比較して変化がなかった。 本研究の結果における導管から腺細胞への分化はin vivoで古くからいわれている分化の過程に合致していることから妥当な経過をin vitroで追っていると考える。以上のことから現在、最終的な分化を誘導する因子を解明するための段階としてそれぞれを唾液腺細胞と共培養する前にまで至っている。現在までの成果をまとめ学会発表する準備を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞の分化が均一に行われないため腺上皮細胞への分化が難しい。また、分化の段階ではかなり幼弱な段階を見ようとしているため分化の方向性を決定するのがむずかしい。このことから唾液腺上皮に限定した分化を見ることは難しい。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のことから直接iPS細胞から唾液腺細胞に分化するかどうかは明確にわかりにくい。そこでもう一段階分化の進んだ段階に位置する唾液腺から抽出した幼弱な細胞を用い、分化に関わる因子を見つけ出し、これをiPS細胞の分化にフィードバックすることでさらなる研究を進めることができると考える。
|