2011 Fiscal Year Annual Research Report
Sprouty阻害剤を分子標的薬とした歯周組織再生療法の発明
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22792092
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
讃井 彰一 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70507780)
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Keywords | 歯周組織再生 / Sprouty2 / 骨芽細胞 / 上皮細胞 / bFGF / EGF |
Research Abstract |
本研究はSprouty2ドミナントネガティブ変異体を、歯周組織の再生時に遊走、分化、活性化すると予想される細胞群に遺伝子導入し、Sprouty分子を抑制することによって起こるさまざまな現象を調査し、Sproutyが歯周組織の再生にどう影響するのかを明らかにすることを目的としている。 本年度に関しては、以下の実験結果が得られた。 1.MC3T3-E1細胞においてはbFGF・EGF・血清刺激によりERKの活性化が生じ、Sprouty2優性阻害変異体を導入することでbFGF・血清刺激によるERKの活性化はさらに増強された。 2.GEI細胞においても同様の刺激によりERKの活性化が生じたが、Sprouty2を変異体にて抑制させると、逆にEGF・血清刺激によってさらにERKの活性が減少した。 3.Sprouty2を抑制したGEI細胞において、EGF刺激によりEGF受容体の減少が確認された。 4.血清で刺激した場合、Sprouty2抑制MC3T3-E1細胞の細胞増殖能はやや亢進しており、逆にSprouty2抑制GEI細胞の細胞増殖能は抑えられていた。 5.Sprouty2優性阻害MC3T3-E1細胞は対照群と比較してALP活性が亢進していた。 これらの結果より、Sprouty2を抑制することで歯肉上皮細胞の増殖は抑えられ、骨芽細胞においては増殖、骨分化が誘導されることが示唆された。つまり、歯周病による歯槽骨吸収部位に対してSprouty2阻害剤を使用することによって、歯肉上皮の侵入が妨げられ、再生の空間が維持され、同時に骨芽細胞による石灰化が誘導されることが期待される。近年、Sproutyの活性化・不活性化機構が徐々に明らかになっており、これらを利用することでSprouty分子が治療標的となる可能性が考えられる。
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Research Products
(4 results)