2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞の歯周組織幹細胞への分化誘導機構の解明-幹細胞ニッチからのアプローチ
Project/Area Number |
22792093
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
迫田 賢二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70419654)
|
Keywords | 歯学 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 発生・分化 |
Research Abstract |
前年度にマウスiPS細胞とラット歯根膜細胞の共培養を行った結果、iPS細胞が歯根膜と同様な特性を持った可能性が考えられたため、本年度はさらに歯根膜細胞のマーカーとして考えられている遺伝子の発現解析を進めていった。しかしながら、歯根膜細胞と共培養したiPS細胞からはPeriostinの発現は確認されるものの、その他のマーカーであるPLAP-1やS100A4の発現を認めることはできなかった。条件を変えながらiPS細胞から歯根膜細胞への分化を試みたが、現時点においてはin vitroの系で分化誘導することは困難であることが分かった。そこで、歯の発生期や歯周組織の再生において重要な役割を担っている間葉系幹細胞に着目し、まずはiPS細胞を間葉系幹細胞へ分化させることとした。iPS細胞から分化させた間葉系幹細胞の分化能を確認するために脂肪分化刺激と骨分化刺激を加えた。脂肪分化をOil Red O染色で確認したところ、Oil Red O染色陽性の脂肪細胞分化が確認された。また、骨分化を骨分化のマスター遺伝子であるCbfa1をリアルタイムPCR法で確認したところ、時間依存的(1~10日)にCbfa1の発現が上昇していることが確認された。高純度の間葉系幹細胞への分化誘導を行うために、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell : DFAT)作製技術を応用することとした。DFATとは、成熟脂肪細胞を天井培養という方法で培養することにより、生じてくる線維芽細胞の様な形態をした細胞群で、高い増殖能と多分化能を有し、DFATの細胞表面抗原は、培養骨髄間葉系幹細胞にほぼ一致した発現プロファイルを示すことが知られている。iPS細胞から脂肪細胞への分化にROCKInhibitor(Y-27632)を使用することで高効率で脂肪細胞が得られた。しかしながら、生体内での成熟脂肪細胞のような大きな脂肪滴をもった細胞を得るには至っていない。現在、大きな脂肪滴を有する成熟脂肪細胞への分化を試みているところである。
|