2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期前向きコホートによる歯周病の脳卒中発症リスクの解明
Project/Area Number |
22792106
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 孝 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10396450)
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Keywords | 歯周病 / 脳卒中 / 前向きコホート / 地域一般住民 / パノラマエックス線 / MRI |
Research Abstract |
本研究は岩手県花巻市大迫町に在住する55歳以上の一般住民を対象に、歯周病の脳卒中発症リスクを解明することを目的とした前向きコホート研究である。 本年度は調査開始(2005年10月17日)から2010年11月30日までの予後調査を行った。観察期間は1870日である。期間内でのコホートへのエントリーは599名、そのうち脳卒中既往者および予後不明の者を除外した532名を追跡対象とした。観察期間中の脳卒中発症は,岩手県脳卒中登録システム,死亡診断書,健康保険レセプト,各世帯に送付された質問表の回答から確認するとともに、カルテ調査により発症状況,病型を把握した。対象者のベースライン調査時の平均年齢は67.9歳、男性32.1%、平均観察期間は1070日であった。調査の結果、新規の脳卒中は8名(1.5%)に認められ、5名が男性であった。脳卒中の内訳は脳梗塞4名、脳出血2名、くも膜下出血1名、その他1名であった。 一方、オープンコホートの方式を設ける本研究では、今年度新たに125名に対し循環器疾患に関する検査および歯科検診を行い、ベースラインデータを採取、集計した。検診では循環器疾患の検査として、家庭血圧測定、頭部MRI撮影、頸動脈超音波検査、上腕-足首間脈派伝播速度測定、血液生化学データ測定および危険因子(BMI、喫煙、飲酒等)について調査した。歯科検診では、健全歯、う蝕歯、修復歯、欠損歯などの診査、歯周ポケットとアタッチメントロスを測定する歯周組織検査、およびパノラマエックス線撮影を実施した。さらに口腔関連QOL、口腔清掃習慣、歯科受診行動について問診した。検診後は、検査結果を循環器内科専門医が総合評価し、対象者個別に生活習慣についての指導を行い、必要に応じて専門医療機関への受診を勧めた。歯科検診においても歯科医師による口腔内診査で要治療と判断された場合には、文書による受診勧奨を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベースライン調査実施による対象者のエントリーについては、計画通り毎年120~150名ずつ着実に蓄積されている。また予後調査についても2010年11月末日までの脳卒中発症の追跡が完了しており、今後の追跡によりイベント発症が相当数に達した際には解析が行える状態にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はなく引き続き新たな対象者のリクルートと調査を実施しコホートの拡大を図るとともに、予後の追跡調査を行う。データに関しては歯科検診にて撮影しているパノラマエックス線画像の読影を急ぎ、歯周病の指標としての歯槽骨吸収の定量化を行う。
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