2010 Fiscal Year Annual Research Report
低濃度過酸化水素のラジカル殺菌能を高度利用した次世代青色レーザー歯ブラシの開発
Project/Area Number |
22792107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪飼 紘代 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20431588)
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Keywords | 低濃度過酸化水素 / ラジカル殺菌 / 可視光レーザー / オーラルケア / ヒドロキシルラジカル |
Research Abstract |
これまでわれわれの研究グループは、過酸化水素を405nmの可視光源で光分解することにより効率的に生成するヒドロキシルラジカルを殺菌に応用した、ラジカル殺菌技術の研究を進めてきた。本研究は、この技術を広く一般に利用するため、オーラルケアの分野に応用することを目的として行われた。原理として、過酸化水素を含む歯磨剤と、毛先からレーザー光が放出される歯ブラシを用いて効果的にヒドロキシルラジカルを局所で発生させ、歯面に付着したバイオフィルムの除去・殺菌を行うものである。本年度は、システムの基礎条件の設定を目的とし、照射出力・過酸化水素濃度の設定と評価を行った。歯ブラシの毛先から放出されるレーザー光の出力として、最大で50mWを想定し、10mWから50mWまで10mW毎に、8,31,125,500mM過酸化水素に30秒間照射した際のヒドロキシルラジカル生成量を測定した。計測は、ESRスピントラッピング法で行い、DMPO-OHの量を測定した。DMPO-OHは、照射出力・過酸化水素濃度に依存して大きくなることが判った。また、.Streptococcus mutansの浮遊モデルを用いて、過酸化水素濃度を125,250,500,1000mMに設定し、殺菌実験を行ったところ、それぞれ1log,2log,3log,6log以上の殺細菌作用を示した。また、殺菌への影響は、照射出力の強さより過酸化水素濃度の方が大きいことも明らかとなった。今回の実験は初発菌数を10^7CFU/ml程度に設定して行ったが、実際のオーラルケアは一般的に毎日行われるため、菌量がそれほどまでに膨大になるとは考えにくい。したがって、本殺菌技術を日常のオーラルケアに用いるには、500副以下の低濃度過酸化水素、また、50mW以下の低出力レーザーでも高い殺菌効果が期待できることが示唆された。
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Research Products
(12 results)