2011 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の各種真菌の口腔感染状況と全身の健康との関連性の解明
Project/Area Number |
22792121
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
冨岡 未記子 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (70546473)
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Keywords | Length Heterogeneity PCR法 / Candida albicans / 舌苔 / 要介護高齢者 |
Research Abstract |
当該年度は、昨年度確立したLength Heterogeneity PCR法を用いた口腔真菌構成解析系を用いて施設入所高齢者の口腔真菌構成の解析を行ったのち、健康状態との関連について検討した。対象は大牟田市の療養型医療施設(3施設)および高齢者施設(7施設)に長期にわたって入所する高齢者291名(86.0±7.4歳)とし、スプーンスパチュラを用いて得られた舌苔を検体とした。 291名の舌苔抽出DNAについて定量PCR法を用いて総真菌数を測定したところ、128名で舌苔検体あたり10^4 CFU以上の真菌が検出され、そのうち35名では10^5 CFU以上認められた。10^4 CFU以上の真菌が認められた128名について真菌構成を解析した結果、もっとも高頻度で検出されたのはCandida albicans(105名;82.0%)であり、続いてCandida dublinensis(78名;60.9%)、Malassezia restricta(56名;43.8%)、Candida tropicalis(45名;35.2%)、Candida glabrata(26名;20.3%)などが多くの被験者で認められた。舌苔採取の前後約6か月からなる1年間の観察期間における1週間以上の発熱の有無と真菌分布との関係について統計学的に検討したところ、総真菌数が10^5 CFU以上と真菌の過増殖が起きている被験者ではC.albicans以外の真菌が検出される場合、特にC.glabrataやC.tropicalisが検出される場合に発熱との関連が認められた。このような関連は舌苔の湿潤度、義歯の使用、生活活動動作、認知機能障害、嚥下障害、抗生剤の使用、脳血管疾患といった発熱関連因子を多変量ロジスティック回帰分析にて調整した際にも有意であった。本研究により高齢者の口腔内の真菌種の分布が明らかになり、さらにその構成と宿主の健康状態との関連性が示唆された。
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