2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下障害患者に安全に経口摂取させるための科学的根拠に基づいた代償姿勢の検討
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22792126
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
戸原 玄 日本大学, 歯学部, 准教授 (00396954)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 誤嚥 / 診断 |
Research Abstract |
摂食・嚥下障害が疑われる患者に対して、安全に経口摂取を行うに当たって代償姿勢の科学的な根拠を見出すためには、摂食・嚥下障害の精査の妥当性の担保が必要となる。摂食・嚥下障害の精査には嚥下造影検査および嚥下内視鏡検査の二つが存在し、我々は過去に嚥下造影検査の検者内および検者間一致率を検討することで検査の妥当性を確認した(戸原ら,2005)。本年度は嚥下内視鏡検査の検者内および検者間一致率を検討し、一致率は嚥下造影検査に劣るものではないこと、特に検者内一致率が高いことを確認した(Tohara et al.2010)。また、嚥下時の喉頭挙上に寄与する筋肉には舌骨上筋群があげられ、これらは実際に神経筋疾患や脳血管疾患の影響で麻痺することも考えられるが、同部に対する手術の影響で嚥下障害が起きるのかを検討するために、腫瘍などにより舌骨上筋群を変則的に切除した症例に対して、摂食・嚥下障害がどの程度発生するのかを嚥下造影検査を用いて検討した。その結果、舌骨や喉頭の安静時の位置は低下するものの、嚥下障害を実際に引き起こす程度の影響は及ぼさないことを確認したため、同様の症例には代償姿勢の適用は必要ないと考えられた(Hirai et al.2010)。また、嚥下時の代償姿勢の検討として、球麻痺患者の食塊の咽頭通過足を嚥下造影検査を用いて検討したところ、過去には検束の咽頭を食塊が通過すると考えられていたが、患側を通過する症例があること、また時間経過とともに通過側が変化する症例があることが確認された(三串ら2010)。その他、嚥下圧を測定するシステムを完成し、健常者に対して嚥下圧測定を行い、摂食時の姿勢をリクライニングさせることで一方向的に圧力が上がる、もしくは下がるものではないことを確認したため、来年度以降の研究を継続する予定である。
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