2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食嚥下障害の機能回復に向けたオーラルジスキネジアの発症メカニズムの解明
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22792127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 尚子 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (00548919)
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Keywords | 摂食嚥下障害 / パーキンソン病 / オーラルジスキネジア / 大脳基底核 / ドパミン神経系 / マルチ・チャネル・ユニット法 |
Research Abstract |
本研究は,摂食嚥下障害を伴うパーキンソン病などで認められるオーラルジスキネジアの発症メカニズムを解明するため、その発症メカニズムに関与していると考えられている大脳基底核に存在するドパミン受容体の神経活動に対する役割を明らかにすることを目的としている。本年度は,ドパミンD1/D2受容体アゴニストであるapomorphineが線条体腹外側部または側坐核shellに存在する神経活動に与える影響について,マルチ・チャネル・ユニット法を用いて解析した。 実験にはSDラットを用い,ウレタン麻酔下で32チャンネルの電極を基底核に挿入し,神経活動(ユニット記録)を行った。Apomorphine(1mg/kg)の全身投与が約1時間顎運動を引き起こす報告(Fujita et al.,2008)があることから、コントロール記録を行った後にapomorphineを静脈内投与し,神経活動に及ぼす影響を90分間記録した。記録細胞は神経活動の規則性と発火頻度から中型有棘神経細胞,コリン作動性細胞,GABA作動性介在神経に分類できた(Rebec,2006)。記録細胞のうち95%は中型有棘細胞であり,平均約1Hz以下の頻度で不規則な発火しパターンを示した。GABA作動性介在神経細胞は100Hz以上の高頻度発火を示した。コリン作動性神経細胞は約20Hzで規則的に発火した。 Apomorphine(1mg/kg)の全身投与により規則的な顎運動を誘発され,中型有棘神経細胞の神経活動は漸増傾向を示すものが多かった。その多くは,投与後30分で神経活動のピークを示した後,漸減した。高い神経活動を示すGABA作動性介在神経細胞では,活動頻度が増加するものと減少するものが存在した。コリン作動性神経細胞では,神経活動が減少した。現在,記録部位と活動変化の相関を解析中である。
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