2011 Fiscal Year Annual Research Report
摂食嚥下障害の機能回復に向けたオーラルジスキネジアの発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22792127
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 尚子 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (00548919)
|
Keywords | 摂食嚥下障害 / パーキンソン病 / オーラルジスキネジア / 大脳基底核 / ドパミン神経系 |
Research Abstract |
本研究は,大脳基底核の線条体腹外側部に存在するドパミン受容体の神経活動に対する役割を明らかにすることを目的としている。本年度は,ドパミンD1/D2受容体アゴニストapomorphineが線条体腹外側部に存在する神経活動に与える影響について,マルチ・チャネル・ユニット法を用いて記録し,神経活動の変調について解析した。実験にはSDラットを用い,ウレタン麻酔下で32チャンネルの電極を線条体腹外側部に挿入し,神経細胞の発火を記録した。ベースラインの活動性を記録した後にapomorphine(21ng/kg)を青争脈内投与し,神経活動に及ぼす影響を記録した。記録した細胞は発火パターンによって,中型有棘細胞と推定されるPA(phasically active)ニューロンとコリン作動性介在神経細胞と推定されるTA(tonically active)ニューロンに分類した。Apomorphineを投与することで,全162個のPAニューロン中,33.3%の細胞で発火頻度が有意に増加し,38.3%で有意に減少した。TAニューロン(n=38)では71.1%の細胞で発火頻度の減少を認めた。同時性の発火を認めた全39組のニューロンペアについて解析したところ,PAニューロン-PAニューロン(22組)の同期性発火はapomorphineを投与することによって,50%のペアで増加が認められ,40.9%のペアで減少が認められた。TAニューロンを含むペアでは,殆どのペアで同期性の発火減少が認められた。これらの結果は,PAニューロンに対してapomorphineは促進と抑制の両方に作用することが明らかとなった。さらに,同期性の発火減少を伴うTAニューロンの活動抑制は,局所的なacetylcholineの放出を減少させ,apomorphine誘発性顎運動の調節に関与している可能性が考えられた。
|