2010 Fiscal Year Annual Research Report
原始反射が出現した高齢者における摂食・嚥下機能に関する研究
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22792130
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
川瀬 順子 日本歯科大学, 生命歯学部, 臨床助手 (60571619)
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Keywords | 原始反射 / 摂食・嚥下機能 / 低栄養 / 食事介入法 |
Research Abstract |
原始反射は、病的反射ともいわれ、認知症などにみられる前頭葉の障害によりふたたび出現するとされており、認知症高齢者において、原始反射の出現が原因となり食事介助に難を示す場合が観察される。しかし、このような場合であっても、感覚入力を強調することにより、原始反射が抑制され、掃食から咀嚼までのパターン動作がみられることが、臨床において度々観察される、本研究は、認知症高齢者などに出現する口腔関連の原始反射に注目し、これらが摂食・嚥下機能や低栄養に与える影響について検討することを目的とした。 対象は、鹿児島県内にある病院(認知症専門病棟)の認知症高齢者140名(男性23名、女性117名)、平均年齢85.9±6.5歳である。対象者の認知症原因疾患は、脳血管性認知症33名、アルツハイマー型認知症101名、レヴィ小体認知症4名、混合型認知症1名、その他1名である。これら対象者に、吸畷反射、咬反射、口尖らし反射の有無を調査した、きらに、介護度、ADL(Barthel Index)、認知機能(CDR)、摂食・嚥下機能、誤嚥性肺炎の既往、栄養および食事、食行動などについて調査した。対象者のうち、いずれかの原始反射が認められた者は31名(22.1%)であった。吸畷反射、咬反射、口尖らし反射が認められた者はそれぞれ、25名,13名,13名であった。 原始反射出現頻度とBMIとの間に有意差が認められた(p<0.001)。また、原始反射出現頻度とADLとの間に有意差が認められた(p<0.005)。 本研究の結果、原始反射の出現が栄養状態に影響を及ぼすことが示唆された。今後は、追跡調査および都内老人福祉施設での調査を行い、原始反射の出現時期とこれらの低栄養や肺炎の発症との関連を検討する。きらには、介入調査により原始反射が出現した認知症高齢者に適した食事の介助方法を検討することにより、低栄養や肺炎発症予防に資する介入法を開発することを目的とする。
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Research Products
(1 results)