2011 Fiscal Year Annual Research Report
原始反射が出現した高齢者における摂食・嚥下機能に関する研究
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22792130
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
川瀬 順子 日本歯科大学, 生命歯学部, 臨床助手 (60571619)
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Keywords | 原始反射 / 摂食・嚥下機能 / 低栄養 / 食事介助法 |
Research Abstract |
原始反射は、病的反射ともいわれ、認知症などにみられる前頭葉の障害によりふたたび出現するとされており、認知症高齢者において、原始反射の出現が原因となり食事介助に難を示す場合が観察される。しかし、このような場合であっても、感覚入力を強調することにより、原始反射が抑制され、捕食から咀嚼までのパターン動作がみられることが、臨床において度々観察される。本研究は、認知症高齢者などに出現する口腔関連の原始反射に注目し、これらが摂食・嚥下機能や低栄養に与える影響について検討することを目的とした。初年度では認知症高齢者140名を対象とし調査を行い、原始反射の出現が栄養状態に影響を及ぼすことが示唆されたことについて報告した。今回は都内にある介護福祉施設5施設に入居している経口摂取をしている要介護高齢者255名(男性60名、女性195名、平均年齢86.0±8.5歳)を対象とし、吸啜反射、咬反射、口尖らし反射の有無を調査した。さらに、ADL(Barthel Index)、摂食・嚥下機能、栄養状態、食事状況、口腔ケアリスク(口腔ケアの拒否)について調査を行った。対象者のうち、いずれかの原始反射が認められた者は61名(%)であった。吸啜反射、咬反射、口尖らし反射が認められた者はそれぞれ、39名、33名、15名であった。これらの原始反射出現頻度と食形態、ADL、食事中や食後のむせとの間に有意差が認められた(p<0.001)。また、原始反射出現頻度と口腔ケアリスクとの間に有意差が認められた(p<0.05)。本研究の結果、原始反射の出現が摂食・嚥下機能および口腔ケアリスクとの関連が示された。これらが栄養状態および予後に影響を与えるか追跡調査を継続し、さらには出現したものに対し、介入調査により摂食指導の効果を検討する必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介護老人福祉施設において原始反射出現の有無の調査は行えているが、原始反射が出現した者のうち30名を介入群とし、摂食指導の介入を行う点に関してやや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
原始反射が出現した者のうち無作為に選定した30名を介入群として、摂食指導介入による、嚥下機能および栄養状態の変化について検討し、出現している原始反射に応じた食事介助方法の検証を行う。初年度から調査で得られた結果より、要介護高齢者における原始反射の出現頻度、関連因子、摂食指導介入による効果について検討を行い、どのような食事介助法が原始反射が出現した要介護高齢者に有用であるかを明らかにする。
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Research Products
(1 results)