2011 Fiscal Year Annual Research Report
麻痺手不快臭の発生要因と効果的な援助方法に関する研究
Project/Area Number |
22792161
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
佐藤 晶子 群馬パース大学, 保健科学部, 助教 (90458472)
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Keywords | 麻痺手 / におい / 手浴 / 石けん / 清潔 |
Research Abstract |
本研究では、片麻痺患者の麻痺手に健手にはない独特の不快臭を伴う事が多いことに疑問を感じ、麻痺手不快臭増悪の原因や条件の明確化および不快臭増悪因子を除去するための効果的な援助方法の検討を目的に、麻痺手の手掌部の皮膚ATP値・皮膚pH値に着目して調査を進めている。平成23年度は、健康成人20名を対象に、両手掌部の細菌数・におい・皮膚表面温湿度・皮膚ATP値・皮膚pH値を、石けん手浴の前後から経時的に測定した。細菌数は、拭き取り検査用滅菌綿棒「ふきふきチェックII(栄研化学株式会社)で両手掌部をそれぞれ拭き取って細菌を採取し、ペトリフィルムTM培地(3M社)にて35℃・24時間培養後、形成されたコロニー数をカウントした。においは、ポータブル型ニオイセンサXP-329IIIR(新コスモス電機株式会社)で両手掌部をそれぞれ2分間測定し、併せて6段階臭気強度表示法と9段階快不快度表示法でも評価した。皮膚温湿度は、Testo 635-1プロフェッショナルクラス温湿度計(株式会社テストー)にて計測した。皮膚ATP値は、ATPふき取り検査器ルミテスターPD-20(kikkoman社)にて測定した。皮膚PH値は、皮膚・頭皮用pH計 MJ-120(株式会社佐藤商事)を用いて測定した。また、両手掌部への清潔行動の実施状況を対象者の申告にて情報収集した。現在、収集したデータの取りまとめと分析を行っている。 平成24年度は、倫理的配慮のもと、片麻痺手を持ち保清に介助を要する入院療養中の患者を対象に麻痺手不快臭の増悪因子の増殖状況と不快臭の発生状況を経時的に検証し、これまでに得られた健康成人の手掌部環境の結果をふまえ、明確になった増悪因子を除去するための効果的なケア方法や頻度を検討する。そして、検討した援助方法を実施し、その妥当性と有効性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度の研究目的を、a)健康成人における手掌部環境の経時的な検証、b)片麻痺患者の麻痺側手掌部環境の経時的な検証、c)a)とb)より明確になった不快臭発生要因を除去するための効果的な援助方法の検討としていたが、達成できたのはa)のみである。これは、予備調査と測定指標・測定回数(時期)・測定方法など実験手順の再考を予想以上に行ったことが原因であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験手順の再考を繰り返した結果、当初の計画より測定指標の種類と測定回数(時期)を厳選した。これに伴い、実験および分析時間の短縮が予測される。また、本年度は研究の調査対象施設への依頼や研究対象者の選定を既に終えており、すぐに調査を開始できる体制となっている。以上のことより、遅れを取り戻し、当初の計画通りに研究を遂行することができると考える。
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