2010 Fiscal Year Annual Research Report
がんサバイバーにおける社会的排除の実態と関連要因に関する研究
Project/Area Number |
22792196
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西村 歌織 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (20337041)
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Keywords | 看護 / 医療・福祉 / がん / サバイバー / 社会 |
Research Abstract |
本研究は、がんの初期治療と終え社会生活を送るがんサバイバーが認識する社会的排除の実態や、その背景を明らかにする実態調査である。社会的排除は特に壮年期の就労問題が大きいが、本研究では社会的に排除されることと、排除されたと認識すること全てとした。22年度は、北海道内6か所の患者サロン等において、2組計9名のがんサバイバーへのグループインタビュー、11名への個人インタビューを行い、語りの内容を分析した。また上記以外の5か所の患者会等に参加し15名のがんサバイバーより追加情報・意見を得て分析の妥当性向上を心がけた。その結果、経過の見通しがつきにくいことで、職場で極端に仕事を減らされたり、退職に仕向けられる等の問題があった。気兼ねを感じながらも仕事を継続するには、自分自身が病気を受けとめられているかが大きな要因となり、合わせて職場の規模や後遺症による影響の程度で置かれる状況に違いがあった。さらに近年の傾向として、子宮頚がんが性感染症という目で見られるなど、一般的知識の偏りから偏見を持たれ生活する現状があった。さらに近所から詮索され距離を置くようになったり、がんと伝えただけで友人からの連絡が途絶えた、家族に過剰に心配され本音を話せないなど、がんは死につながるというイメージにより人間関係への影響を受けていた。一方、実際は治療の後遺症が外見上見えにくく、現状の理解や配慮が得られないつらさも抱えていた。一般社会における人間関係の問題や恐れには地域差がある印象があった。 今回の対象者はがん患者同士で情報を共有し対処方法を知る機会を活用していたが、一般社会では役割や関係を維持するために病気を隠すことで対処する状況もあった。23年度は以上の分析結果をもとに、より広域の外来通院中のがんサバイバーを対象とした無記名によるアンケート調査を行い、さらに社会的排除の実態を明らかにすることを研究課題とすることとした。
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