2011 Fiscal Year Annual Research Report
がんサバイバーにおける社会的排除の実態と関連要因に関する研究
Project/Area Number |
22792196
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西村 歌織 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (20337041)
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Keywords | 看護 / 医療・福祉 / がん / サバイバー / 社会 |
Research Abstract |
前年度に行ったインタビューにより得られたデータにより質問紙を作成し調査を行った。調査内容は、社会的排除に関する項目への一致度について回答を得ると同時に、がんにより周囲からの偏見や差別を受けたと感じたり、傷ついたりした経験を記述により回答を得た。関連要因として、認知的評価を測る自我態度尺度、ソーシャルサポート尺度、精神健康調査票も合わせて調査した。調査は北海道内のがんサロン参加者へ依頼し、80通が回収された(回収率41.9%)。回答者は、女性53名男性24名で、年齢は35~91歳であった。 社会における自己の状況に関する項目では、ありのままの自分を大切し前向きにあろうとする意識が高い一方、人知れず体力的な面で困難さを抱えている状況があった。人に病気を隠す、人を遠ざけるなどへの回答は少数であった。自分への周囲の反応に関する項目についてもポジティブな項目に賛同する意見が多く、がんになり自由を奪われたなどのネガティブな項目については、20~40%であった。仕事や職場に関連する項目では、職場に居づらいなどの排除に関する項目へ賛同する回答は20~40%であった。しかし、偏見や差別の経験についての自由回答では、職場での配慮のない対応やいやがらせ、他者からの無理な同情や励ましによるすれ違い、配慮に欠ける言葉による傷つき、傷や脱毛がありながら社会で生活するつらさなど、多くの思いが記述されていた。ソーシャルサポート尺度の得点と社会的排除に関する項目とは関連がなく、認知的評価と関連があった項目は、主に社会における対処に関するものであり、社会に対するネガティブな認知と元々の認知の傾向には関連がなかった。周囲の人の反応に対するネガティブな認識は、精神健康状態との関連が強かった。その他、化学療法による影響が特に周囲に理解されにくい状況や、診断時の年齢が低いほど社会で理解を得ることの困難さが表れていた。
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Research Products
(1 results)