2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体行動制限最小化のための行動解析システムおよび指標の開発
Project/Area Number |
22792197
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
加藤 綾子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 講師 (30318159)
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Keywords | 画像,文章,音声等認識 / 生物・生体工学 / モニタリング / 看護学 / アルゴリズム / 行動解析 / 時系列信号処理 / 精神疾患 |
Research Abstract |
精神科医療において隔離・身体的拘束(以下拘束)は必要な医療行為ではあるが,人権尊重の観点から可能な限り縮小されることが望ましい.本研究では,患者の状態を詳細に把握し安全で適切な解除指標を確立するための継続的な行動解析を可能とするシステムの開発を目指す.今年度は,「安全かつ効果的な行動観察・解析方法の確立」について,(1)撮影方法(設置場所)の検討,(2)基礎的な画像処理システムの開発を行った.また,本研究の目的や方法について,実際の医療現場でのヒアリングを実施した.隔離室の性格上,患者の手の届く範囲に計測装置を設置することは困難である.そこで天井設置型カメラを利用することとした.撮影する映像の種類は,日中の観察を目的とした可視光,夜間の観察を目的とした近赤外光,温度情報も得られるサーモグラフィについて検討した.可視光画像や近赤外画像では,高解像度で高フレームレートの画像が取得でき,行動解析に有利である.サーモグラフィでは温度情報を用いることで可視光や近赤外画像に比べ比較的容易に人物の存在位置を取得することが可能であるが,解像度,フレームレート共に低く行動解析には不利である.今後は,それぞれのカメラの利点を活かしながら情報を取得する方向で検討をすすめる.基礎的な画像処理システムに関しては,差分画像を用いた人物領域の取得,画像上における移動軌跡の算出アルゴリズムを開発した.検出精度の向上,3次元空間における移動奇跡の特徴抽出などが今後の課題である.しかしヒアリングの結果,医療従事者には「撮影」に抵抗感があることがわかった.今後,臨床データを取得しながら実験を行うためには,本研究の目指すシステムが画像そのものの取得ではなく,画像処理によって得られる行動解析結果であることを強調し,理解を求めていくことが重要であることがわかった.
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