2011 Fiscal Year Annual Research Report
在宅療養中の終末期がん患者の食事摂取に関する看護支援プログラムの作成
Project/Area Number |
22792202
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
井上 菜穂美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (00454306)
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Keywords | がん看護学 / 終末期がん患者 / 食事摂取 |
Research Abstract |
本研究の目的は、今後さらに増加が予測されている在宅療養を送る終末期がん患者を対象に、患者のQOLを維持・向上するために不可欠な要素である『食事摂取』に関する看護支援プログラムを作成することである。 平成23年度は、看護支援プログラムの内容を検討するために昨年度から継続して面接調査を実施し、患者が体験する困難や対処、ニーズを明らかにした。さらに、昨年度の研究結果と合わせ看護支援プログラムを作成した。面接調査では、がん診療連携拠点病院に通院中の終末期がん患者12名を対象にデータを収集し、内容分析を行った。その結果、対象者の多くはがんの進行にともなう身体症状やADLの低下、治療による味覚障害などの身体的苦痛だけでなく、家族への負担感や社会的役割の喪失などの心理社会的な困難を体験していた。対象者はそれらの困難に対して、体に良い食品の情報を探求する、積極的に症状緩和を図る、自己の病状に適した食品を選択する、などの問題志向的対処や、身体症状は仕方がないとあきらめる、支えてくれる周囲に感謝して食べる、食べることで生き続けられると言い聞かせる、などの情動志向的対処を行っていた。また、対象者のニーズは、食事摂取を継続し生きながらえたい、食べる楽しみを維持したい、医療者からの継続的な支援を得たい、などであった。 以上の結果から、在宅療養中の終末期がん患者の食事摂取に関する看護支援プログラムは、対象者が食事摂取を可能な限り継続できるための身体症状の緩和と、心理社会的支援の充実を図ることを目標とし、(1)栄養アセスメントと身体機能の評価、(2)積極的な症状コントロールとセルフマネジメントの促進、(3)個々の病状に応じた具体的な情報提供、などの内容で構成した。外来や在宅においては看護師が直接患者や家族に関わる時間が制約されるが、継続して寄り添い支援する姿勢が重要である。
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