2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療を受ける頭頸部癌患者の良好な食事摂取のためのケアモデルの開発と普及効果
Project/Area Number |
22792205
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
大釜 徳政 獨協医科大学, 看護学部, 准教授 (50382247)
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Keywords | 放射線治療 / 有害事象 / 頭頸部癌 / ケアモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射線治療を受ける頭頸部癌患者を対象として、味覚障害・口腔内乾燥・口腔粘膜炎といった口腔内の有害事象に対する緩和ケアと良好な食事摂取のための食事提供という両者を一体化したケアモデルを開発し、その有用性を検証することである。 平成23年度は、28名の頭頸部癌患者を対象者として調査を実施した。まず口腔内の有害事象に対する緩和ケアについて、口腔ケアを励行したが、20Gy(E)および30Gy(E)の時期で口腔ケアの回数や内容によって口腔内乾燥、口腔粘膜炎、食欲の増減について統計学な有意差は認めなかった。しかし、40Gy(E)以上の時期では、口腔ケアの回数によって口腔内乾燥、有害事象の症状が緩和する傾向が認められた。 食事提供については、累積照射線量が20Gy(E)において「本人の食事の好みを取り入れた味・温度・食感ともメリハリのある風味豊かな食事」、30Gy(E)は「本人の食事の好みを取り入れつつ、滑らかで咀嚼しやすい食材を刺激の少ない味付けとし、風味や季節感などで食べやすくした食事」、50Gy(E)は.「飲み込みやすく、口溶けのよい食感で、味だけでなく、温度、匂いでの刺激を抑え、風味や季節感などで食べやすくした食事を食べやすい時間帯に提供する」こととし、官能評価を検討した。その結果、食感は、魚のぱさぱさ感、麺のコシ、米飯について高い評価が認められたが、肉料理の口溶けよく調理することが課題であった。味付けは、塩分制限を控えたことでおいしさを感じ食べられているが、酸味の味付け加減、香味野菜で味にアクセントをつける点で課題が残った。温度・食形態は、おおむね高い評価であった。食事全体を通して、特に献立が食べやすい時間帯に提供するようになったことで良い評価となっている。対象者の食事に対する満足度は、介入前:4.3、介入後が7.2であり、ケアモデルの有用性が明らかとなった。
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