2011 Fiscal Year Annual Research Report
病院・診療所における産婦の主体的な出産を達成する助産ケアとその特殊性
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22792212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荻田 珠江 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (40506242)
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Keywords | 病院・診療所 / 産婦 / 助産師 / 助産ケア / 分娩期ケア |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の出産の99%が病院・診療所で行われていることに着目し、病院・診療所における産婦の主体的な出産に向けた助産ケアを、助産師と産婦の双方の視点から明らかにすることである。そして、、病院・診療所における助産技術の特殊性を検討し、女性の主体的な出産を達成する助産師ケアを提言することである。本年度は、主に昨年度の調査で得られた出産後の女性と助産師の双方のインタビュー結果の分析を行い、その結果を学会で発表した。 データ分析の結果、出産後の女性が病院・診療所において役立ったと感じた分娩期ケアは、【緊張感を与えない親しみある対応】や【孤独を感じさせないつながり】など施設に居る緊張感や陣痛への不安が軽減できるような心理面へのケアと、【陣痛を乗り切るためのアドバイス】、【安楽で順調な経過に向けた行動の促し】など女性自ら陣痛に対処出来るようなケア、さらには【現状と今後の詳細な説明】や【励ましのことば】など頑張っていこうという気力につながるケアという3つの側面が示された。他方、助産師から得られた産婦の主体的な出産に向けた分娩期ケアは〔分娩経過の実況中継〕層や〔今後の予測を伝える〕、〔次に来る時間の目安を伝えてから側を離れる〕など産婦が役立ったと感じたケアと共通する部分がある一方、多忙さや施設のハード面などの制限により、病院・診療所における分娩期ケアの限界が述べられることがあった。本インタビューは、助産師が行っている産婦の主体的な出産に向けた助産ケアを中心に情報を収集したが、今後は、病院・診療所の分娩期ケアがどのような分娩管理の方針や施設環境に影響されているのかを明確にし、そこから生じる助産ケアの工夫や技術について詳細を探る必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度のデータ収集が遅い時期の実施だったため、本年度は主にデータ分析に力を入れた。出産後の女性が役立ったと感じた分娩期ケアと助産師の産婦の主体的な出産に向けたケアの相違点、また、その違いが生じている原因の明確化に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の分析結果より、研究計画の一部を変更する必要がでてきた。実施予定であった参加観察から、助産師への個別的なインタビューに研究方法を変更する予定である。病院・診療所において、分娩期ケアに影響を与える背景要因やそこから生じる助産ケアの工夫や技術に焦点を当てた多様なデータを助産師から得る必要があると考えたためである。また、出産後の女性へのインタビューを見直し、女性が分娩期ケアに求めるニーズについても検討している予定である。最終的に双方のデータを照合し、病院・診療所における産婦の主体的な出産に向けた助産ケアを明確化する。
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