2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患患児を育てる親のストレス・コーピング構造の変化に関する縦断的研究
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22792213
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
扇野 綾子 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (70400140)
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Keywords | 看護 / 慢性疾患患児 / 家族 / コーピング |
Research Abstract |
平成22年度は研究の基盤となる概念枠組みを検討するために、まず慢性疾患のある子どもと家族のストレス・コーピングに関する文献を再検討した。なかでも困難な状況からの回復力である「レジリエンス」の概念は近年看護学や心理学の領域で注目されており、本研究においても非常に重要な概念となると思われた。そこでまず、L.O.WalkerとK.C.Avantの方法に基づきレジリエンスの概念分析を行った。活用可能な文献等からレジリエンスを定義づける属性を同定したところ、逆境からの跳ね返り、ポジティブであること、柔軟性の3つが明らかになった。これらの結果は日本ヒューマンケア科学学会第3回学術集会にて発表している。 また、この概念分析の結果と合わせて本研究の概念枠組みの検討を続け、概念の測定用具となる質問紙の作成を実施した。具体的には、研究者が以前に行った関連研究のデータを再分析・検討し、また専門家の助言を得ながら内容の検討を慎重に行った。その結果、質問紙にはコーピングだけでなく、レジリエンスや精神的健康度の尺度を含む必要性が明らかになった。平成22年度は質問紙の作成を中心に行ったため計画していたデータ収集は平成23年度に行う予定である。 さらに、本研究はデータ分析の最終段階に構造方程式モデリングという手法を用いて、仮説を検証する予定である。そのため、平成22年度はその分析方法と理論についての専門的知識を深めるため、講習会に参加し知識提供を受けた。これにより、分析方法だけでなくその理論的意味について理解を深めることができ、今後行うデータ分析に非常に有効に活用していくことができると考えられた。
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