2013 Fiscal Year Annual Research Report
小児がん患者の周囲の人との疾患に関するコミュニケーションを支えるための基礎的研究
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22792219
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
宮城島 恭子 浜松医科大学, 医学部, 講師 (60345832)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児がん経験者 / 思春期・青年期 / 病気の受け止め / 病気に関するコミュニケーション / 周囲の人との関係 |
Research Abstract |
思春期・青年期の小児がん経験者が、病気や自己についての理解を深め、再発の不安や晩期合併症の治療・健康管理を抱えながらも、社会生活を充実させ、長期に疾患に向き合っていくことを支援するための示唆を得るために、20~30歳代の小児がん経験者13名を対象に半構成的面接を実施し、病気の受け止め方および病気を抱える自己への向き合い方が、周囲の人との関係の中でどのように変化してきたかについて、質的に分析した。 対象者は平均年齢25.4歳、男性6名、女性7名、有職者7名、学生4名、無職2名であり、既婚者は2名いた。固形腫瘍9名、血液腫瘍4名で、治療経験は化学療法13名、放射線8名、手術8名であり、再発経験者は3名、小児がんによる合併症のある人が5名いた。発症時期は幼児期2名、小学生5名、中学生5名、高校生1名で、発症時に病名説明を受けた人は8名であり、治療や副作用の説明を受けた人は12名であった。 40概念が生成され、発症時は〈何故自分なのか〉〈病気についての一応の理解〉等5概念、入院中は〈自分だけじゃない〉〈しようがない〉〈病気・治療に伴う生活変化への不安〉等15概念、退院後は〈自分の感覚を頼りに活動調整〉〈周囲の人への病気の告知をした後の安堵感〉等11概念、現在は〈退院後も気になる身体的影響〉〈将来の妊娠・出産への不安〉〈病気体験を活かして人の役に立ちたい〉等9概念であった。発症時に〈何故自分なのか〉とショックを受けた後、他の入院児を見て〈自分だけじゃない〉と感じ、家族や闘病仲間の家族、友人の支えを受けたりして〈しようがない〉と病気を受け止めていた。〈病気・治療に伴う生活変化への不安〉に対し、〈自分の感覚を頼りに活動調整〉や〈周囲の人への病気の告知〉をしたりして、生活の調整を行っていた。現在も小児がん自体や治療によって身体的影響や不安を抱えながらも、前向きに生きようとする姿がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
22年度開始当初の計画では質問紙調査を最初に、その後面接調査を行う予定であったが、調査内容等を再検討した後、面接調査を優先した。また、面接調査では複数施設や団体に対象者の紹介を依頼したが、1施設しか協力が得られていないことや、病院受診の機会が1年に1回という対象者が多いため、長期の調査期間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータの分析をさらに深め、信頼性・妥当性を検討し、全体的なプロセスについて学会発表および論文投稿を行う。また、全体的な分析の他、焦点を絞ったり視点を変えたりした分析を加え、それぞれ学会発表や論文投稿を行う。そして、今後の研究への発展性や実践への活用を検討する。
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