2011 Fiscal Year Annual Research Report
低出生体重児と母親の関係性発達支援プログラムの開発
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22792231
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末次 美子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70437789)
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Keywords | ボンディング / 母子相互作用 / 尺度開発 |
Research Abstract |
本研究課題を達成するために、母親の子どもに対する情緒の評価を行うツールとして、日本語版PBQ (Japanese version of Postpartum Bonding Questionnaire; PBQ-J)を開発した。PBQは、母親の乳児に対するボンディング障害を診断するためにデザインされた、25項目4因子から成る6段階測定の尺度である。 正期産で1か月健診を受診した母親を対象に、妥当性の検証としては、赤ちゃんへの気持ち尺度(MIBS)、Maternal attachment Inventory(MAI-J)、Edinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)との相関を検証し、既知集団妥当性については、初産婦群/経産婦群・抑うつ傾向の有群/無群の2群に分類し、それぞれ2群間の得点差を検証した。信頼性の検証としては、内的整合性と、再テスト法によって検証した。 総得点の得点分布は正規分布を示さなかった。妥当性について、PBQ-JとMIBS/MAIとの相関は、中程度の相関を示し、収束的妥当性/弁別的妥当性が示された。基準関連妥当性についは、PBQ-JとEPDSは中程度の相関を示した。既知集団妥当性について、PBQ-Jは、初産婦群・経産婦群の比較においては初産婦群の方が有意に高く、抑うつ傾向群・非抑うつ傾向群の比較においては抑うつ傾向群の方が有意に高いことが示された。信頼性について、全項目・各因子のクロンバックα係数は十分な内的整合性を示した。また再テスト法においては、と高い相関を示し、2時点での有意な得点差はなかった。 正期産で出産した産後1か月の母親において、PBQ-Jは十分な信頼性・妥当性が示され、わが国における乳児期の母親の子どもに対する情緒を測定するための有用なツールが開発された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の達成度として、母親の乳児に対する情緒の測定ツールである日本語版PBQ (Japanese version of Postpartum Bonding Questionnaire; PBQ-J)が開発されたことは、本研究課題にとって重要な概念を測定する評価ツールであるととともに、また母子保健領域の研究においても広く利用される価値のある評価ツールの開発研究であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究の推進方策としては、開発した日本語版PBQ (Japanese version of Postpartum Bonding Questionnaire; PBQ-J)を用いて、様々な概念との因果関係を明らかにし、母親の乳児に対するボンディングの程度や、ボンディングに影響を与える因子について明らかにし、低出生体重児と母親の関係性発達支援プログラムを開発することである。
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Research Products
(1 results)