2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝素因と予防行動に関する教育が2型糖尿病患者の血縁者の行動変容に与える効果
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22792255
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西垣 昌和 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20466741)
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Keywords | 糖尿病 / 看護学 / 遺伝学 / 一次予防 / 健康教育 |
Research Abstract |
本研究は,2型糖尿病ハイリスクである可能性がありながらも既存の健診システムの対象とならない2型糖尿病家族歴を有する非メタボリックシンドローム者をターゲットとした効果的・効率的な糖尿病予防戦略を考案しその効果を検証することを目的とした介入研究である.平成23年度には,平成22年度に健診施設にてリクルートした216名の2型糖尿病家族歴養成非メタボリックシンドローム成人に対し,「糖尿病予防動機付け支援ツールを用いた遺伝カウンセリング(介入1)」および「生活習慣改善支援補助ソフトウェアを用いた糖尿病療養指導士による非対面式の個別生活指導(介入2)」を実施した効果測定を目標としたデータ収集,およびデータ解析を実施した. 対象者216名は,介入1+介入2の双方を受ける群(A群n=75),介入2のみ受ける群(B群n=70),従来の情報提供のみをうける対照群(C群n=71)にランダムに割付けられた.半年間の介入と1年間の追跡期間を終え,1年間のフォローアップ期間を完了したのはA群51名,B群53名,C群50名であった.本研究で実施した「糖尿病予防動機づけ支援ツールを用いた遺伝カウンセリング」は,対象者が2型糖尿病予防に関する認知および行動を変容するうえでの動機づけ支援として有効であった.また,「生活習慣改善支援補助ソフトウェアを用いた糖尿病療養指導士による非対面式の個別生活指導」に対する対象者のコンプライアンスは従来行われてきた予防的介入よりも良好であり,対象者の食事行動を好ましく変容させた,しかし,長期的効果や身体活動に対する効果は認められず,継続性や身体活動を重視した介入をデザインすることが課題として挙げられた. 本研究の今年度における成果により,特定健診・特定保健指導の対象にはならないものの糖尿病ハイリスク者である家族歴養成者に対する介入の効果が,臨床における実現可能性が十分に担保された介入デザインでその効果と臨床応用での課題が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,ほぼ計画通りのスケジュールで進行した.しかしながら,対象者の脱落率が想定していたよりもやや高かったため,最終的な症例数は目標症例数を下回った.そのため,統計的欠損地補完を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施した介入は、臨床における実施可能性を重視した半自動化された非対面式の形態をとり、速やかな臨床応用が可能である。一方、本研究の結果は介入の提供頻度や内容の修正の必要性を示唆するものであり、次年度以降はこれらの修正を実施する。 さらに、本研究で示した介入モデルは、遺伝素因と環境要因が複合して発症する多因子遺伝疾患に対しても応用できる可能性をもっている。前述の修正に加え、他疾患に応用するための改変も併せて実施する予定である。
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