2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22792257
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森田 久美子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 准教授 (40334445)
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Keywords | 世代間交流 / デイサービス / 高齢者 / 効果 / 行動観察 / 認知症 |
Research Abstract |
本研究では、世代間交流の効果について、評価方法を開発し、どのような内容の世代間交流プログラムがより有効なのかを検討することを目的としている。 本年度は、認知症がある高齢者の世代間交流の効果について、ビデオによる行動観察およびスタッフに対してフォーカスグループインタビューを実施した。利用者の行動を積極的参加/受身的参加/自己中心的参加/自己活動/非活動の5パターンに分類し、行動パターンおよび交流中の発語の有無について比較した。子ども主体型交流時にくらべ、双方型交流時に積極的参加の割合、発語が多くなった。また、利用者は自分の名前を呼ばれ注目されることや子どもと一対一の直接的な触れ合いにより、俳徊行動等が一時的に消失した。一方、快刺激となっていた子どもが急に去ることで不安感や帰宅願望が出現し行動症状の契機となる可能性が考えられた。スタッフに対して実施したフォーカスグループインタビューの結果、【正の側面の影響】【負の側面の影響】【世代間交流プログラム継続の意義】【世代間交流プログラム継続の課題】の4つのカテゴリーに分類された。【正の側面の影響】では利用者は《行動・心理症状(BPSD)》《情緒面》《身体的健康面》、子どもは《情緒面》が抽出され、【負の側面の影響】では利用者は《身体的健康面》《情緒面》、子どもは《情緒面》が抽出された。【世代間交流プログラム継続の意義】では、《介護家族へ喜びの波及》《子供と接する機会の場》《利用者の社会的孤立予防》が抽出され、【世代間交流プログラム継続の課題】では、《職員のジレンマ》《コーディネータ役割の必要性》《現状維持を温存したプログラムの続行》が抽出された。 来年度は認知症のない高齢者および子どもに対し、世代間交流プログラムの実施前後でアンケートを実施し、効果を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドの都合で、子どもに対するアンケート調査が来年度にずれ込むことになったが、それ以外についてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、世代間交流の実施前後におけるアンケート調査を本年度に引き続き実施する。 計画当初、小学生との交流を想定していたが、定期的に小学生との交流を実施しているデイサービスで研究可能な施設が見つからず、未就学児との交流を行っている施設での調査に変更した。それに応じて、子どもへのアンケート調査は未就学児でも回答可能な内容にし、併せて保護者にもアンケート調査を実施することとした。
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