Research Abstract |
本研究の目的は,介護老人保健施設における質の高い看取りケアの実践を目指し,看取りケアを実践している施設の取り組みから,各専門職のケアの技,他職種の連携・協働がつくり出すケアの技を導き出し高齢者が「その人らしく,心地よく生き抜く」ことを支えるケアとはどのようなものなのか,ケアモデルの全体像を考案することである。平成23年度は,1次調査として実施した質問紙調査を分析すること,調査結果をもとにケアスタッフと意見交換をすることを通し,ケアやかかわりの内容を抽出することを目的とした。 質問紙調査は,『施設・看取りケアの概要に関する質問調査』票の返送があった39施設(38.6%)(北海道・東北地方を除く)で働く看護管理者およびケアスタッフ(看護職,介護職,リハ職,栄養職,相談職)を対象に実施した。有効回答数(率)は,看護管理者36(92.3%),看護職162(48.5%),介護職536(42.1%),リハ職80(44.4%),栄養職33(49.3%),相談職42(53.8%)であった。 すべての職種において,高齢者に対する日々のケア(例えば,食事や排泄,入浴の援助,ポジショニング等)は丁寧に実践されていたが,"思い出を語る","死への思いについて聴く"などのコミュニケーションを意図的にされていない状況が明らかになった。また,最期の場の確認については家族には行っているが,高齢者本人への確認は低い結果であった。リハ職は,リハの時間をつかい高齢者に個別にかかわることができるため,身体に対してたけではなく精神面へのかかわりも実施していた。しかし,個別には対応しているものの,看取りケアのチームから外されているという意見が多かった。各職種がそれぞれの専門性を活かした実践を行っていたが,様々な葛藤を抱えながらケアに携わっていることが窺えた。 この調査結果をもとに,施設において看取りケア実践中の事例を通して,多職種と意見交換を始めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に実施した質問紙調査の分析に時間がかかったため,それを用いての勉強会の開催が遅れている。ただし,丁寧に分析が行えていると考える。また,結果について,意見をもらうことはできているので,次の計画に繋げることは十分できると考えている。
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