2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22792275
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
関根 正 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (20404931)
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Keywords | 児童思春期病棟 / 看護師 / 看護に関する意識 / 職業的アンデンティティ |
Research Abstract |
近年、思春期青年期にある若者の問題行動の社会問題化に伴いこころの問題が顕在化している。それに対し、多方面からの対策が講じられており、精神保健医療サービスは質・量ともに拡充している。その中で思春期青年期にある若者への看護の確立は必須といえる。先行研究を概観すると、児童思春期精神看護は他の精神科病棟や小児科での看護と差はなく共通している部分が多いといわれていたが、その後の知見の蓄積により児童思春期病棟での看護が提出されてきており、その専門性や独自性が明らかになってきている。一方、勤務する看護師を対象どした研究では、職務・職責に対する意識、役割や専門性、メンタルヘルスに関する内容が中心的課題となっている。つまり、思春期青年期精神看護領域に関する1つの研究課題は、児童思春期病棟に勤務する看護師の看護に対する意識を明らかにすることにあるといえる。 そこで、本研究では児童思春期病棟に勤務経験のある看護師を対象として、基本的属性票と児童思春期病棟における看護に対する意識を問う自由記述票、佐々木らによって開発された職業的アイデンティティ尺度により構成した質問紙調査を郵送法にて実施した。 結果、有効回答は88名(82.1%)。看護の魅力は【思春期という時期での関わり】【人間としての成長】等、看護の困難さは【関わり方】【患者理解】【家族との関わり】、看護の役割として【キーパーソン】【情報提供者】【家族との橋渡し】、看護する上で意識している事は【距離感】【全体像の把握】【肯定的アセスメント】であった。看護師の基本的属性と職業的IDは性別と雇用形態で有意差が認められた。 以上より、児童思春期病棟における看護師の職業的アイデンティティには父性の機能と思春期青年期にある患者との関わりの有無が影響を与えることが示唆された。また看護師は、思春期青年期にある人ということを意識しており、患者との人間関係的な側面を意識して看護を実践していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
児童思春期病棟における看護支援モデルの開発に向けて、勤務経験のある看護師の看護に関する意識と職業的アイデンティティを調査したことにより、児童思春期病棟における看護支援に関する基礎的資料となったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
近年の児童思春期精神看護にまつわる研究成果により、児童思春期病棟でなされている看護や看護師の看護に関する意識が明らかにされてきている。しかし、先行研究は看護師個人へのインタビューや質問紙を用いた質的帰納的デザインで、特定の場面や状況下での看護師と患者との関わり場面を対象としたものが多くを占めている。 看護は看護師個々の臨床判断、病棟や治療スタッフ、看護師個人の価値観や経験、患者・家族の存在といった文脈に沿った形で存在していることから、「状況の文脈」に沿って看護のプロセス全体を把握し、その上で児童思春期病棟における看護の方略を探求していくことが必要といえる。 そこで、本年度は平成23年度の研究成果を踏まえ、児童思春期病棟でフィールドワークを行い、看護支援についての記述的研究を行う計画である。
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