2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者に自己決定の機会を提供する看護介入の効果について
Project/Area Number |
22792282
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
渡辺 陽子 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (20364119)
|
Keywords | 老年看護学 / 認知症高齢者 / 自己決定 |
Research Abstract |
本研究の目的は,中等度・重度認知症高齢者の自己決定の機会を提供する看護介入プログラムを作成することである。研究期間内に実施することは、これまでに実施した研究「施設で生活する中等度・重度認知症高齢者の自己決定の機会を提供する看護介入の効果についての研究」を踏まえ,研究デザインを再検討し、モデルに基づく看護介入を実践し、効果を評価することである。 平成23年度は、応募者が実施した先行研究「施設で生活する中等度・重度認知症高齢者の自己決定の機会を提供する看護介入の効果についての研究」の結果を質的に分析し、介入の有効性を検証した。介入による変化として明らかになったことは、以下の2点である。(1)介入4日目以降で【援助者や他入所者との関係を考えながら選択する】,12日目以降で【周囲に対して気を配りながら選択する】がみられたことから,他者との関係性を維持する力を引き出すことができる介入である。(2)8日目以降で【選択の意思を明確に示して行動する】がみられたことから,自己決定の力は潜在しており,介入により顕在化される可能性があるといえる。以上より本介入は、中等度・重度認知症高齢者の尊厳を支える援助であると同時に,自己決定する力を顕在させ,円滑な人間関係を営む力を引き出す効果があることが示唆され,介入の有効性が検証された。 有効性は検証されたが、中等度・重度認知症高齢者の自己決定を支える看護介入モデルを作成する上での課題も明らかとなった。それは、現時点では自己決定理論をもとに介入モデルを作成しているが、そのモデルでは「援助者と認知症高齢者の相互関係」という視点が十分ではない、と言うことである。そこで現在、人間関係論を加えた介入モデルの再検討を実施している。来年度は、施設生活する認知症高齢者3~5名に介入モデルに基づいた援助を実施し、モデルの妥当性を検証する予定である。
|