2011 Fiscal Year Annual Research Report
BPSDの顕著な認知症高齢者に対する精神科看護師の行動特性の有効性
Project/Area Number |
22792284
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
江上 史子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (80336841)
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Keywords | 看護学 / BPSD / 認知症 / 精神科看護師 |
Research Abstract |
本研究の目的は、BPSDを有し、精神病床に入院している認知症高齢者に対し、精神科看護師がどのように関わり、認知症高齢者の反応をとらえているのか、その行動特性と有効性を明らかにすることである。そして、精神科看護師の看護の実感を引き出せるようなグループ討議のあり方を模索することである。 研究協力者は、精神科領域での看護に3年以上携わっており、自らの看護について語ることができると看護管理者から推薦を得た、2施設3名の看護師で、年齢は30歳代~40歳代、看護師としての経験年数は7年から22年であった。 データ収集は精神科看護師と担当患者の関わりの場面の参加観察と、認知症の高齢患者もしくは精神疾患の高齢患者の看護に関して、半構成面接を併用して行った。参加観察した内容を記述したフィールドノートとインタビューの逐語録をデータとし、質的・帰納的方法を用いて分析した。分析は精神科看護師と高齢患者の看護を専門とするスーパーバイザーに助言を受けながら行った。 精神科看護師の行動特性として、対象(認知症高齢患者もしくは高齢の精神疾患患者)の生活史を含めて高齢者を理解することや、身体に現れている症状を理解すること、BPSDの背景にある要因をアセスメントすること、認知症高齢患者(高齢の精神疾患患者)の体験世界を理解しようとすること、言動を解釈し、代弁することが行われていた。精神疾患患者に対してのみ現れていた特性としては、家族や社会とのつながりを意識することや自律を支援することが見られた。そして、それらの行動は、レクリエーション等の特別なプログラムの中ではなく、日々のあらゆる場で、言語的・非言語的コミュニケーションと共に行われており、認知症高齢者や高齢の精神疾患患者の笑顔や発言、自律的な言動を引き出すことができていた。 本研究は福岡県立大学研究倫理委員会の承認を得た上で、研究協力施設、研究協力者、参加観察の場にいる入院患者とその家族(もしくは代諾者)に対し、倫理的配慮を行った上で実施した.
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