2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者用転倒危険予測尺度を活用したスタッフ教育プログラムの開発
Project/Area Number |
22792287
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 順天堂大学, 医療看護学部, 講師 (90459032)
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Keywords | 看護学 / 転倒予防 / 認知症 / 入院高齢者 |
Research Abstract |
認知症高齢者は転倒リスクが高いといわれている。現在、転倒のアセスメントツールは作成されつつあるが、活用による転倒予防の効果についてはほとんど検証されていない。そこで本研究は、研究代表者が開発している病院版認知症高齢者用転倒危険予測尺度の使用可能性を高めた上で看護職、介護職が協働するフロアへの尺度を活用した教育プログラムを開発することを目的とした。平成22年度は、まず病院版認知症高齢者用転倒危険予測尺度の使用可能性の検証を行う調査を行った。対象は病院に入院中の高齢者(認知障害をもつ高齢者を含む)ならびにそのフロアに従事する看護職・介護職とした。方法は、属性、転倒危険予測尺度、認知症レベルとしてCDR (Clinical Dementia Rating)、転倒の有無、ADLの項目からなる調査と転倒危険予測尺度のみの評価を患者1名に対し、それぞれ1名のスタッフが同時に行った。調査期間は平成22年10月~12月の3か月とした。分析方法は統計学的分析を用いた。なお,倫理的配慮を行い,承諾の得られた対象にのみ実施している。結果は対象患者68名、平均年齢は792歳であり、80歳代が30名(44.1%)が最も多かった。入院中に転倒経験のあった者は23名(33.8%)であり、調査期間中の転倒者は17名(25.0%)であった。認知症と診断されていたものは37名(54.4%)であったが、CDRでは認知症の疑い(0.5)が15名(22.1%)、認知症(1~3)の該当者は52名(76.4%)を占め、最も多かったのは重度で24名(35.3%)であった。対象スタッフは72名、うち看護師が63名(87.5%)、平均年齢は31.1歳、平均経験年数は7.4年であった。病院版認知症高齢者用転倒危険予測尺度の各項目における評価者間の信頼性について、一致率は63.2~88.2%であった。今後は、更に分析を進めるとともに、一致率が低かった項目の検討、転倒危険予測が高いが転倒しなかった者や転倒危険予測が低いが転倒した者の事例検証ならびに教育プログラム内容を検討していく。
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