2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22792299
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
藤代 知美 四国大学, 看護学部, 助教 (60282464)
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Keywords | 看護学 / 精神科看護 / 統合失調症 / 中断 |
Research Abstract |
対象者からインタビューによる豊富なデータを得るため、データ収集に先立ち、対象者と信頼関係を築くためのフィールドワークを行った。そして、23年度までに精神科訪問看護を中断したことのある7名の統合失調症の方にインタビューを実施することができた。対象者は男性3名、女性4名であり、家族と同居している人は4名、単身生活者は3名であった。 23年度は、データ収集と平行して個別分析も行った。分析方法としては、当初の計画通り現象学的アプローチを用い、Giorgiの方法に準じた。結果、7名中6名の個別分析が終了し、それぞれ8~12の単位に集約できた。 23年度は、7名の対象者のうち、看護師による服薬管理を否定的にとらえた2事例の精神科訪問看護における体験を特に分析した。対象者は、中年の女性と中年の男性である。分析の結果、2事例の体験は7つの意味としてあらわすことができ、関係性をふまえると次のように表現することができた。利用者は、【強制される訪問看護】を受けるようになり、【ペースが乱れる】ことを経験しながらも、【客へのもてなし】をしようとした。そのようにして受け入れた訪問看護師は【ちょっとした助け】になったが、【気まずい詮索】もされ、結果として【意味がない客】であった。考察の結果、精神科訪問看護の目的の一つである服薬管理を、利用者の目線に立って行うためには、訪問看護への認識のずれが生じやすいことを念頭に置き、訪問看護によって利用者のペースが乱れている大変さを汲み取りながら、言葉通り客らしく振舞いつつ、利用者の不安に敏感に対応することで、時間をかけて信頼関係を築くことが必要であることが示唆された。この結果は、24年6月に日本精神保健看護学科第22回学術集会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採択の決定が22年度11月であったことより、データ収集に取り掛かるのが遅れた。当初計画では、23年度中に個別分析を終える予定であったが、現在のところ、24年5月末までで終了できる見通しである。2か月程度の遅れであり、本年度中に終了できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、残る1名の分析を完了させ、質的研究に精通した学内の研究者に助言を頂き、7月を目安に個別分析を終了する予定である。 次に、個別分析で得られた単位をもとに、全体分析を開始する。全体分析は8月を目安として開始し、9月中に終了させる予定である。 最後に、10月より考察と本文の作成を行う。考察ではまず、精神科訪問看護が継続されるための看護のあり方について考察を行う。「そしてこの研究を元に、具体的な看護の方法やアセスメントシートの作成などが考案できるような考察を行う。また、精神科訪問看護の整備上の課題、在宅サービスのマネジメント方法についても幅広く文献を用いて考察を行う。 作成した論文は、次年度の日本精神保健看護学会に発表するために、今年度中に演題登録を行う計画である。それとともに、更なる研究に繋げるための計画を作成する。
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