2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者への「寄り道散歩」プログラムの導入効果に関する研究
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22792306
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
伊東 美緒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20450562)
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Keywords | 認知症 / 通所ケア / 活動量 / プログラム / 地域との交流 |
Research Abstract |
通所介護施設において、主にアルツハイマー病高齢者を対象として、公園などの特定の"寄り道先"に定期的に出かけるプログラムの効果を調べた。A-B-A'-B'法を用いて、散歩のない時期と散歩する時期を繰り返して、認知症高齢者、介護家族、施設職員から質問紙に対する回答を得た。 2010年10月と2011年4月から3ヶ月間ずつ、「寄り道散歩」プログラムを実施し、調査を行なった。もともと一度に多くの対象者を対象として実施できるものではない上に、入所や長距離の歩行困難等の理由により、継続できない対象者がいた。合計22名から同意を得られたものの、Aを開始する前に3名が参加不可能となり、Bまで参加できたのは11名(50%)であった。少数であるため有意な結果は得られにくいが、臨床認知症評価法(CDR)で軽度(0.5-1)、中等度-重度(2-3)の二群に分類して、家族の評価によるBPSDのアセスメントスケール(Behave-AD)の変化について分析したところ、軽度の群(n=6)、中等度-重度の群(n=10)ともに、ベースラインでは変化が認められないが、Aのプログラム実施前後において、特に中等度から重度の群でBehave-ADの得点が低下していた。 2007-2009年に当研究費を受けて行なったプログラムでは、重度の人が多く、有意に家族の評価によるBehave-ADが低下していたが、今回は1年間継続できるよう軽度の人を多く募った。前回、今回の結果から、認知症の程度が重い人ほど、「寄り道散歩」プログラムの実施により、通所介護施設から自宅に戻ったときのBPSDの出現頻度が低下する可能性があると考えられる。A-B-A'-B'法の全体評価、個人の特性も鑑みた個別のデータの変化については、今年度まとめて、論文投稿する予定である。 さらにアルツハイマー病の人へのプログラムとして、介護施設で活用できるように要点をまとめ、講演や介護系雑誌などで伝えることにより、通所介護施設において、定期的な外出プログラムを推進したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度に天候による影響を受けて、「寄り道散歩」プログラムの開始が遅れたものの、その後はおおむね順調に進展している。2011年度認知症ケア学会にて、これまでの成果を発表したところ、実践的な研究に送られる"石崎賞"を受賞した。また、認知症ケアに関する研修を担当するときには、プログラムの成果を紹介し、さらにプログラム実施中のエピソードについて介護施設向け雑誌"介護人材Q&A"に連載で紹介し、普及活動も行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
睡眠への効果を調べるためのアクチグラフの使用については、高額な機器であるだけに、在宅での利用は難しく、24年度に有料老人ホームの協力を得て実施することに変更した。
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