2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800006
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ルガル フランソワ 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 講師 (50584299)
|
Keywords | アルゴリズム / 計算機代数 / 量子計算 |
Research Abstract |
本研究は、数学的な構造を備えている計算問題を取り扱うために、新しいアプローチを考察し、新しい技術を開発することを目標としている。まず始めに、22年度は性質検証(property testing)という枠組みでこの研究を推進した。特定の群のクラスを区別する問題に着目し、以前開発した手法を一般化し、古典の質問計算量の強い下界を初めて導いた。この成果によって、従来のコンピュータの計算能力の限界を明らかにする事とともに、量子コンピュータの優位性を確立した。次に着目したのは、量子計算や量子通信の実現に必要不可欠な量子誤り訂正符号(量子stabilizer符号)である。従来古典符号の復号化問題の計算量が解明されている一方で、量子符号の場合計算量が、正確的に明示されていなかった点において、量子誤り訂正符号の代数的な構造を用いて、復号化問題がNP-困難であることを示した。この結果によって、McEliece暗号をはじめ、復号化問題に基づく公開鍵暗号の量子系への拡張の基盤を築いた。最後に、ネットワーク上で情報を効率的に送信する技法であるネットワーク符号についても研究を進め、古典ネットワーク符号化が可能である全てのネットワーク形状において、同じ形状の量子ネットワークでも古典通信の補助的利用のもとに、量子情報の完全な伝送が効率的に行えることを示した。さらに、既存の結果より伝送の際、必要な補助的古典通信の量を大幅に削減することにも成功した。
|