2010 Fiscal Year Annual Research Report
折紙の数理に基づく展開および折畳み可能な機構の汎用デザインシステムの構築
Project/Area Number |
22800009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘 知宏 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50586740)
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Keywords | 折紙工学 / コンピュテーショナルデザイン / 計算幾何学 / 折り畳み / 可動構造 |
Research Abstract |
様々なデザインの文脈において折紙の幾何学を用いることのできる汎用的デザイン手法およびシステムを導くことが研究全体の目的であり、本年度は、以下の研究を実施した。 a)折り線に囲まれる面が合同のまま連続変形する性質(剛体折り可能性)は折紙の機構を幾何学的に論じる上で最も重要な性質であるが、一般化した理論は未だに存在しない。剛体折りに関する理論を一般化するべく経路の連続性と自由度に関する数理的基礎研究を行った。a-1)剛体折り可能性:まず、特異性のない三角形メッシュの剛体折り可能性について、その要素数との関係を一般的に表し、デザインのバリエーションを提示した。四辺形メッシュをベースとして、剛体折り可能となるための折紙の形状・パターンの汎用性のある十分条件を「二方向平坦折り可能な四辺形メッシュ」として定義し、そのデザイン方法を導いた。さらにその条件をトポロジー的に拡張・一般化し、筒型構造、あるいはそれらを複合させた様々なトポロジーの曲面へと条件を拡張した。a-2)剛体折りメカニズムと他のメカニズム:三角形メッシュの剛体折紙に関し、変形機構がピン接合で他の構造物と矛盾無く接合するための条件を自由度の観点で示した。また、四辺形構造の一部のモデルについて、変形によって失われない対称性を明らかにし、それによるメカニズムの構築法の基礎を提案した。 b)変形動作のモデル化と形状への焼き付け変形動作をモデル化しその動作を折紙の形状・パターンに焼き付けるための手法を提案した。折り線と補折り線の二種類の変形パターンを組み合わせ配置し、二方向平坦折り可能な四辺形メッシュを構築し、特異性による不可逆性の問題をパターンの摂動によって解決した。これによって全体が一自由度の機構で連続変形し、二種類の折りの動きのシークエンスを保持する構造物をデザイン可能とした。
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