2010 Fiscal Year Annual Research Report
記憶行動とシナプス形態を制御する遺伝子発現調節因子の作用機序の解明
Project/Area Number |
22800011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 美応 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (30583885)
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Keywords | 記憶形成 / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Research Abstract |
CREBは記憶を長期間保持するために必須な転写因子であり、研究代表者らは神経系においてCRTC1がCREB経路をいかに制御するかを明らかにする目的で研究を実施した。 本研究では、まず、1)CRTC1がCREBの遺伝子発現を増強するメカニズムを調べるため、CRTC1の構成的活性型変異体を作成した(Neurosci.Res.68,Suppl.,e88,02-3-4-3,2010)。 2)次に、CRTC1活性型をウイルスを用いてマウス脳に導入し、動物個体内のCREB依存的遺伝子発現を操作して影響を評価することを目的とし、以下の検討を行った。 2-1)ウイルスの条件検討:レンチウイルスとアデノ随伴ウイルスの脳内注入実験を行い、ウイルス感染の特徴を調べた。 また、ウイルス産生と精製の条件検討を行い、非常に高力価で高純度のウイルスを得ることに成功した。 2-2)ウイルス導入法の改良:ウイルスによる遺伝子導入を正確かっ迅速に行うため、手術用部品を改良し、技術習熟度を高め、ウイルス注入の時間短縮と高い成功率を達成した。 2-3)スパイン形態解析法を確立:IMARISという解析ソフトを用いて共焦点顕微鏡画像の3次元構築を行い、シナプスにおける可塑性を反映するとされるスパインの形態変化を定量的に評価する方法を確立した。 今後、ウィルス感染マウスの記憶行動実験を本格化し、遺伝子発現を個体脳内で操作し、シナプス形態と記憶行動の両面から影響を評価する研究へと発展させる予定である。
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