2011 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエのキノコ体における記憶形成依存的なプロテオミクス解析
Project/Area Number |
22800012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 大介 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80588377)
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Keywords | ショウジョウバエ / 記憶・学習 / CREB |
Research Abstract |
ショウジョウバエの記憶中枢であるキノコ体をベシクルとして精製し、記憶形成の前後でディファレンシャルプロテオミクス解析することを計画していたが、可溶性タンパク質の精製が難航し、膜タンパク質に焦点をおくこととした。膜タンパク質の調製においては、可溶性タンパク質が混入しないことが必要となるが、その調製方法に関してはまだ改良が必要である。記憶をコードする細胞はキノコ体のごく一部であることが予想されるため、それらの少数の細胞をラベルすることが新規記憶学習因子の同定に必要である。そのための実験系の構築として、まず、長期記憶に必須な転写因子であるCREBの活性をモニターするようなCREBレポーターフライを作製した。このハエをforskolin/IBXM処理により、CREBの上流であるcAMP/PKA経路を活性化させるとレポーターシグナルの上昇が観察された。また、不活性化型CREBを発現させることによりCREB活性を阻害すると、レポーターシグナルの減少が見られた。さらにレポーターのCREB結合配列(CRE配列)に変異を導入した場合、レポーターシグナルが全く見られなくなったことから、作製したレポーターはCREB活性をモニターしていることが示唆された。このレポーターでラベルされたCREB活性化細胞が記憶学習において重要な機能を果たしているのかどうかを調べるため、CRE配列の下流にGAL4遺伝子を挿入したCRE-GAL4系統のハエを作製した。このハエと既存のトランスジェニックフライを掛け合わせることで、CREB活性化細胞の神経活動をコントロールすることが可能となった。この実験系を用いて記憶の読み出し時にCREB活性化細胞の神経活動を抑制したところ、中期記憶が阻害されることが分かった。内在性のCREB活性をモニターできるレポーターは世界初であり、記憶形成回路・記憶細胞の同定といったテーマに挑戦するための重要なツールとなることが期待される。
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Research Products
(1 results)