Research Abstract |
本研究では,自由なカメラ運動により撮影された単眼カメラ画像列から,安定かつ高速な3次元位置計測を可能とする視覚システムの構築を目的とする.本年度の主な研究成果を以下示す.(1)環境の変化に対して柔軟に適応可能なビジュアルスラムシステムを実現するために重要な,特徴点トラッキング法を精査・比較し,実装,実験評価を行った.具体的には,コーナー検出に基づいた高速トラッキング法(KLT法)と,様々な画像変化,照明変化に対してロバストな特徴量SIFT,SURF,MSERを用いたWide baselineトラッキング法を比較評価し,SURF特徴量を用いたトラッキング法が,最も効率よく・平均的に安定な特徴量のトラッキングを行うことを確認した.そして,SURFトラッキング法を基にしたVisual SLAMシステムを開発・実装し,従来のKLT法のみをベースにしたVisual SLAMシステムでは復元計測が困難な画像列に対しても,安定かつ高精度に3次元計測が可能なことを実証した.(2)画像の索引付け法を利用した画像類似度計算法を用いることで,効率よくキーフレーム画像を選択するアルゴリズムを開発・実装した.具体的には,画像中のSURF特徴量に対しベクトル量子化を行うことで,データ量を削減し,tfidf法による重み付けを行うことで,非識別的な特徴に対する頑健性を保った画像インデックスを作成する.このようにして算出された画像インデックスを用い隣り合うフレーム間の画像類似度を測ることで,高速かつ信頼度の高いキーフレームの選択が可能であることを実証した.(3)Visual SLAMシステム開発と同時に,画像からの3次元計測において,基盤となるカメラの内部パラメータ推定に関する基礎研究を行い,特に焦点距離をロバストに推定するアルゴリズムを開発し,実装,その成果を発表した.
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