2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800021
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
見上 公一 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 助教 (60589836)
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Keywords | 再生医療 / 産学連携 / 技術移転 / 科学技術社会学 |
Research Abstract |
本研究は最先端医療技術の一つであり日本のライフイノベーションの中心ともいえる再生医療の産業化と技術移転に関して、科学者の専門的な知識や技術が産業として活用され広く普及するためにどのような課題があるのかについて科学社会学的な視点からアプローチすることを目的としている。当初は関係者に対する定期的なインタビュー調査により社会的な変化との関係を明確にする計画であったが、昨年3月の震災以降再生医療分野を含む学術界全体が不安定な状況にあった為、多様な専門家(特に再生医療の周辺技術を専門とする研究者や再生医療関連企業、そして行政関係者)に対してインタビュー調査を行うこととした。また、日本の現状と海外の状況とを比較検討するために、欧米で類似する調査を行っている研究者との意見交換を行った。科学技術社会学などでも「学術」と「産業」には大きな隔たりがあることが認識されてきたが、このインタビュー調査によって再生医療という医療技術についても学術研究と産業の二つのコンテクストにおいてその成立の為に満たすべき要件が異なっていることが明らかになった。この理由としては、企業関係者が製造のプロセスに注目をした思考を持っているのに対して研究者が患者の身体に注目をした思考を持っていることが挙げられるが、その違いは既に規制枠組みの中に組み込まれているため、現状では規制当局に対する不満にもつながっていると考えられる。今後はこれらの点について学術論文としてまとめ発表を行う予定である。
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