2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800022
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
稲田 結美 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 講師 (30585633)
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Keywords | 理科教育学 / 女子 / 学習促進 / 教授方法 / 教材開発 |
Research Abstract |
本研究は男子と比較して顕著に低下する女子の理科学習に対する意識や態度を改善する三とを目指し、中学校の通常の理科授業に導入しうる具体的な指導方法や教材を開発することを目的としている。同様な状況を打開するための諸外国の先端的な研究を参考にし、(1)人体アプローチ、(2)料理アプローチ、(3)美的アプローチの3種類の方策を創出した。人体アプローチについてはすでに、ず中学校理科の「仕事の原理」の授業に看護的文脈を用いて導入し、22年度はその評価から開始した。その結果、人体アプローチを実践した授業によって、理科の勉強の大切さおよび日常生活や将来への理科の有用性に関する女子の認識が向上したことに加え、協同的な活動を授業に導入することと、学習内容に関する女子の理解度への教師の配慮が女子の物理学習促進につながることを見出した。つぎに、料理アプローチを具体化するために、女子の学習促進の観点による諸外国での料理を題材とした理科授業の特徴を分析した。それらは特に物理学(熱力学やエネルギー等)や生物学の領域で多く実践され、1時間のみの単発授業ではなく、多様な科学概念の学習に「料理」や「食品」に関する題材が用いられていた。また、料理を題材にしているものの「食べる」という行為自体は授業中には行われていないことや、料理を授業の導入時のトピックとしてだけではなく、授業全体に渡る文脈として利用する、つまり、コンテクストベースドアプローチの手法がとられていたことも明らかになった。料理アプローチは女子だけでなく、理科を苦手とする全ての学習者を支援することができ、シェフやパティシエ、食品メーカーの開発者等の職業を利用することでキャリア教育の視点からの効果を期待できることも示した。23年度はこれらの知見に基づき、料理アプローチと美的アプローチを中学校の理科授業においてアクションリサーチ的に実践し、評価することを計画している。
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Research Products
(1 results)