2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス消化器がんモデルを用いた悪性化・転移機構の探索
Project/Area Number |
22800025
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石川 智夫 金沢大学, がん研究所, 助教 (70322162)
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Keywords | 癌 / マウスモデル / 転移 |
Research Abstract |
本年度は、マウス腫瘍モデルの悪性化、転移を検討する実験系を新たに構築するために、胃の腫瘍モデルであるGanマウス、腸の腫瘍モデルであるApc^<Δ716>ノックアウトマウスの腫瘍組織からその上皮細胞を単離し、in vitroでの培養を試みた。これまでに報告されている培養条件をもとにした検討の結果、これらの腫瘍細胞の3次元培養系における長期にわたる経代、並びに凍結保存が可能となった。次にこれらの細胞への遺伝子導入法をGFPを発現するベクターを用いて検討した。その結果、レンチウィルスベクターによりGFPを発現する細胞を得ることができた。この方法で導入したい電子は染色体上に挿入されるので、GFPの発現を標識として細胞を選別し、経代していくことが可能である。 一方、AOM/DSSによる化学発がんマウスの浸潤が見られるような腫瘍から単離した上皮細胞の3次元培養においては、Apc^<Δ716>マウスの腫瘍とは異なる形態のコロニー形成が見られた。このことは、3次元培養における形態が腫瘍の悪性化と関連していることを示唆している。これらの結果から、マウスのモデル由来の細胞を用いて、遺伝子導入によりその因子の影響を上皮細胞の形質を見ることによって可能な実験系が確立できた。 腫瘍細胞の悪性化、転移を誘導する内在的な機構として、本研究においては上皮問葉移行(EMT)を取り上げる。そのため、EMTを誘導する分子のcDNAをGFPと共に発現するレンチウィルスベクターを作成している。これらの得られた材料を用いて来年度は、EMTを誘導した際の腫瘍上皮細胞の形質と遺伝子発現の変化を調べ、新たなマウスモデルを作出する候補遺伝子を決定する予定である。
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