2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
脊戸 和寿 京都大学, 情報学研究科, 特定研究員 (20584056)
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Keywords | 証明複雑さ / 計算量理論 / グラフ理論 / 彩色問題 |
Research Abstract |
理論計算機科学分野における大きな未解決問題の1つに,NP対coNP問題があげられる.この問題に対する重要なアプローチ法に証明の複雑さの研究がある.証明の複雑さとは,与えられた論理式が恒真式であることを,公理から始め,推論規則を用いることで証明するときに(このような公理と規則をもつ機構を証明系とよぶ),必要とされる証明のサイズを,入力される式のサイズの関数として求める研究である.証明系の中でも非常に強力であるExtended Frege Systemに対する超多項式下界を求めることは,現存の手法のみでは非常に困難である.本研究では,Extended Fregeと等価な能力をもつ,Hajos Calculusというグラフ計算論法を用いることで,従来の論理式を用いた手法とは異なる,グラフ理論的アプローチによる下限証明の研究を行う.Hajos Calculusとは,3彩色不能なグラフを4頂点の完全グラフから始め,3つのルールの1つを非決定的に適用していくことで,新たな3彩色不能なグラフを生成していくグラフ計算論法である.Hajos Calculusにおいて多項式ステップで構成困難なグラフを発見することは長年に渡る非常に重要な未解決問題である.本研究ではHajos Calculusを平面に限定したグラフ計算論法であるPHCに,さらに生成されるグラフ列の最大次数を制限したPHC(d)を提案し,その能力を解析することでPHC(d)の計算限界を示した.また前年度までに完成していた3彩色不能なグラフの列挙アルゴリズムの高速化にも成功した
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