2010 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーとボノボにおける利他性・互恵性・他者理解の検討
Project/Area Number |
22800034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 真也 京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (40585767)
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Keywords | 比較認知科学 / 動物心理 / 人類進化 / チンパンジー / ボノボ / 協力行動 / 利他行動 / 互恵性 |
Research Abstract |
22年度は、チンパンジーでの実験研究、野生チンパンジーの行動観察、および野生ボノボの行動観察をおこなった。チンパンジーを対象とした実験では、他者の道具使用行動を映像で提示し、他者の道具使用テクニックを観察学習できるかどうかを検討した。また、その際にチンパンジーがどこに注目するかを、視線計測装置を用いて測定した。他者のテクニックを観察によって学習する能力は、ヒトでみられる累積文化の基盤ともなる能力である。今後の分析を通して、チンパンジーとヒトの共通点・相違点を探り、累積文化の進化的基盤を解明することを目指す。今年度はボノボでの実験研究をおこなわなかったが、コンゴ民主共和国のボノボサンクチュアリーを訪れ、今後の実験研究の準備作業をおこなった。 また、ギニア共和国ボッソウ村にて野生チンパンジーの観察、コンゴ民主共和国ワンバ村にて野生ボノボの観察をそれぞれ2ヶ月間おこなった。食物分配をはじめとする利他・協力行動を中心にデータを収集した。チンパンジーとボノボという近縁2種での共通点・相違点を今後の分析で明らかにする。また、祖母による孫への養育行動や、集団での協力行動など、ヒトに特有であると考えられている行動の萌芽がチンパンジーでも観察された。これまでおこなってきた実験研究との結果と照らし合わせることにより、利他・互恵性の進化について、より生態的に妥当な解釈をおこなうことが可能となる。これらの成果も踏まえつつ、利他・互恵性の進化について総説を執筆し、学術雑誌に掲載した。
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Research Products
(11 results)