2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃がん幹細胞の単離と新規マーカーの同定及びWnt非β-カテニン経路による制御機構
Project/Area Number |
22800047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 英喜 広島大学, 病院, 医科診療医 (10581697)
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Keywords | 胃がん / がん幹細胞 / 分化 / Wntシグナル / 非β-カテニン経路 |
Research Abstract |
本研究では(1)胃がん幹細胞の単離と特異的マーカーの同定、および,(2)胃がん幹細胞の自己複製能と分化誘導機構におけるWntシグナル非β-カテニン経路の関与を評価するため、以下の実験を行なった。 1.自己複製能を有し未分化性を維持した幹細胞性を有する胃がん細胞の単離:複数のがん腫でがん幹細胞の同定法として報告のあるCD24, CD44, CD133等の細胞表面蛋白質の発現様式やHoechst33342色素の排出能力ならびにaldehyde dehydrogenase (ALDH)活性をマルチカラーFACSで評価し、これらを複数組み合わせてソーティングを行なった。また、各集団の細胞増殖や運動、浸潤能などの細胞生物学的特性を解析した。その結果、複数の胃がん細胞株でCD24陰性の細胞に幹細胞様特性があり、CD24の発現様式によりALDH活性に差があることを見出した。胃がん細胞でのCD24の発現制御機構については現在検討中である。 2.胃がん幹細胞様細胞の悪性形質獲得へのWntシグナル非β-カテニン経路の関与:Wntシグナル非β-カテニン経路を活性化する代表的リガンドのWnt5aを胃がん細胞株MKN45で恒常的に過剰発現させると、細胞増殖能は変化しないが細胞運動能および浸潤能が亢進した。一方、Wnt5aの強制発現によって細胞表面蛋白質のCD24とCD133の発現に変化はなかったが、CD44強陽性の割合が減少した。胃がん幹細胞のマーカーとされるCD44は、Wntシグナル非β-カテニン経路によって負に制御される可能性が考えられた。 本研究は研究代表者の海外留学転出のため本年度で廃止となるが、今後は複数の胃がん細胞株からソーティングした胃がん幹細胞様細胞に共通して発現する膜蛋白質あるいは分泌蛋白質を網羅的手法で特定し、胃がんにおけるがん幹細胞の新規マーカーの同定へと検討を進める構想である。
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