2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800057
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
谷部 好子 高知工科大学, 総合研究所, 助教 (30582829)
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Keywords | 心理物理学 / 時間知覚 / 眼球運動 / 脳・神経 |
Research Abstract |
【研究内容】ふとしたはずみに時間が長く感じられたりする現象を我々は日常的に経験する。このような時間の長さの知覚を左右するファクターとして、視覚刺激の量や目標到達運動が挙げられている。しかし、視覚刺激の変化や運動のない状況でも、時間は時計のように均等には知覚されない。本研究は、固視微動と呼ばれる眼球運動に伴う神経活動が時間知覚を調整する、という作業仮説に基づく。固視微動とは、一点を固視している最中に絶え間なく生じる微細な眼球運動である。高精度・高サンプリング周波数の眼球運動追跡装置を用い、視野角1度にも満たない固視中の眼球運動を測定した。 【主要な実験】ディスプレイ中央に表示された固視点が、白→青→白→青→白と変化する。実験参加者は、青い固視点の画面(テスト画面)2回のうち、1回目と2回目とでどちらの継続時間が長かったかを回答する。瞬き無しでの長時間の固視が招く疲労を軽減する対策を講じる必要や、テスト画面継続時間策定のための予備実験を重ねる必要があり、未だプレリミナリーな結果であるものの、マイクロサッケード回数と時間知覚との相関が見出されない見込み・画面変化にともなうマイクロサッケードレート上昇率のタスク依存性・マイクロサッケード以外も含めた固視微動による時間知覚の精度への関与について結果が得られつつある。 【意義・重要性】現在得つつある結果を固められれば、マイクロサッケードの生物学的意義の解明に向けた知見という心理物理学的意義が期待される。さらに、固視微動が潜在的に時間知覚精度に関与するという結果を得ることにより、「目が泳ぐ」ような緊張やストレス下ではヒトの知覚に何が生じているのかを知る手掛りが得られる。
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