2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800057
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
谷部 好子 高知工科大学, 総合研究所, 助教 (30582829)
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Keywords | 眼球運動 / 時間 / 自発性 / 大脳基底核尾状核 / リハビリテーション / 身体運動 |
Research Abstract |
本年度は非自発的な固視微動による神経の反応が時間知覚を延長するという仮説の検証を目的とした。 研究1:固視微動による時間知覚への関与 [内容]固視微動による神経の反応による時間知覚への影響を調べるため、視覚入力の変化も自発的眼球運動も伴わない条件下で眼球運動を計測した。仮説に従えば固視微動の頻度が時間間隔知覚と相関関係を示すはずである。結果、仮説と異なり、固視微動頻度と時間間隔知覚との相関は見られなかった。しかしながら、注視位置のばらつきが増すほど時間間隔が短く知覚される傾向があった。[意義]本研究の結果は仮説とは異なったものの、サッカード中には時間間隔知覚が短縮するという知見(Morrone et al.,2005)とは整合的である。そこで、運動コマンドの自発性に着目し、研究2を行うこととした。 研究2:自発サッカードにおいて時間間隔知覚の短縮は生じるか [内容]サッカード中には時間間隔知覚が短縮する現象(Morrone et al.,2005)が知られているが、サッカードの自発性有無がこの短縮に関与するかは調べられていない。一方、大脳基底核尾状核は眼球運動の自発性と時間間隔知覚とに関与する。そこで、自発的にサッカードする条件と視覚刺激がサッカードを誘発される条件とで時間間隔知覚を比較したところ、後者で特に時間間隔知覚の短縮が認められた。[意義]サッカード実行コマンドの自動性が時間間隔知覚を変調すると考えられる。コマンドの自動/自発に関与する尾状核は別々の機能を担う複数の系で構成される。近年までこれらの系の交流は認められてこなかった。本研究は尾状核の眼球運動系と時間知覚系とが交流することを示唆する。 まとめ パーキンソン病を始めとする大脳に底核障害は運動障害とともに時間弁別異常を生じる。本研究の更なる推進は大脳基底核内の処理の流れの解明につながり、運動障害研究に重要な知見をもたらす。
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Research Products
(4 results)