2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800062
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川上 恭司郎 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 研究員 (90589227)
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Keywords | ヒストン修飾 / エピジェネティクス / 老化 / 運動 / アセチル化 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究では運動の抗老化メカニズムを調べるため、ラットを用い、ヒストン修飾に焦点を絞った研究を行っている。(1)加齢に伴い筋肉をはじめとした様々な組織中のヒストン修飾が変化するか、(2)運動によりその変化が影響を受けるか、(3)加齢及び運動によりどの遺伝子上にあるヒストンが変化しているのか、以上の3点を明らかにすることを目的としている。本年度はラットの肝臓、腎臓のヒストン修飾の加齢変化および腎臓のmRNA発現の加齢変化について解析した。 加齢実験群(9と27ヶ月齢)の肝臓、腎臓の核から酸抽出によりヒストンを得た。ヒストン修飾体量は部位特異的抗体を使用してウエスタンブロット解析により定量した。mRNAはRNeasy Plus Kitを用いて組織より抽出し、各遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法にて定量した。 肝臓ヒストンを調べたところ、ヒストンH3の9,14,27,56番目リシンのアセチル化には変化が見られなかった。しかし、NAD依存性ヒストン脱アセチル化酵素であるSIRT1を調べたところ加齢により増加傾向が確認された。SIRT1はヒストン以外のタンパク質の脱アセチル化に関わっており、他の部位のヒストンアセチル化やヒストン以外のアセチル化タンパク質に変化が生じている可能性がある。 腎臓ヒストンを調べたところ、ヒストンH3の10番目セリンのリン酸化の増加が確認された。腎臓のmRNA発現量の加齢変化を調べたところ、カタラーゼの減少、TGF-β1とアクアポリン2の増加が見られた。ラットは加齢に伴い腎障害を起こすことが知られており、その原因の一つに炎症が考えられている。リシン10番目のリン酸化は炎症関連遺伝子の発現制御に関与している報告があり、サイトカインの一つであるTGF-β1もその制御下にある可能性がある。 現在、運動に対するヒストン修飾の変化およびヒストン修飾と遺伝子発現との関係をクロマチン免疫沈降法により調べている。
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